介護の専門性新提案の対人援助職としての基本のリンクについて
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対人援助職としての基本
2009年10月18日Dさん女性、要介護1。ご主人と二人暮らしです。夫婦で長年定食屋さんを営み、多くの人の空腹を満たしてきました。
東北なまりのある、かわいらしい方で、控えめなご性格。地元では定食屋の優しい人柄のおやじさんとおかみさんでした。
数年前Dさんが突然動けなくなり、入院。退院後は自宅療養でした。そしてうちのデイとヘルパーを利用し始めました。
原因は不明、とくに大きな病も障害もないのですが、元々気弱なDさんは自宅に引きこもりがちになりました。
長年夫婦二人で休みも少ない中で頑張ってきた過労だったのでしょうか。
間もなく、一人で切り盛りするには限界があり、ご主人も店をたたみました。お子さんもそれぞれの生活があるので、本当に二人きりの”生活”だけの暮らしが始まりました。
Dさんは週一回のデイサービス利用でしたが、月二回程しかいらっしゃいませんでした。
「何だか体調が悪くてね…」
「行きたいんだけど迷惑になるから…」
体調不良のため通院もされますが「どこも悪くない」と医者に言われ続けました。。。
実際、医療的原因は無いのでしょう。
つまり『生活不活発病(廃用症候郡)』です。
介護職としては一番の大敵です。
外に出なかったり、人と会わなかったり、心身に刺激が少ない生活が続いた末に起きる、ある意味人為的な寝たきり病です。
ヘルパー、デイ、ケアマネ、担当医、Dさんのお子さん。夫婦に関わるみんながDさんに生活不活発病のことを伝え、デイの利用や外出を勧めました。
しかし、Dさんの閉じこもりは変わらず、しかし、月に二回程は必ずデイにも来るのでした。
辛いですが、最大の原因はご主人です。
優しくDさんに「寝てなさい」と気遣い、食事から洗濯、時には排泄の手伝いまでしてくれる過保護ぶり。
Dさんはデイで嬉しそうに「お父さんが何でもしてくれるんだよね」と苦笑いしておっしゃいました。
長年妻に苦労をかけた男性が他者に頼らず、できるだけ自分で身の回りの面倒を全てみようとして妻を囲い込んでしまう・・・男性による妻の介護の典型的一例です。
私も数ケースみたことがありますが、行く末はご主人が倒れたりギブアップして、妻は施設。または、妻がそのまま寝たきり(寝かせきり)で亡くなる。認認介護などの酷いケースでは最悪虐待に致ることもあります。
約一年に渡り私たち関係者はアプローチを試みましたがDさんの状態は低下するばかり。
先日は歩行がかなり困難な状況になっていました。
私たちはまた最悪なケースを作ってしまうのか?
無力……
そう感じてました。
そんな状況を踏まえ担当のケアマネやデイスタッフと相談しました。
私「私たちは何もできないでいる。このままDさんが低下していくのを止められないことが悔しいです。どうすればよいでしょう・・・」
ケアマネ「私も一年間ずっと同じ悩みを抱えてきました。でも、そんな御夫婦を見ていた時思ったのです。これが御夫婦の望みであり、生き方なのではないか、と。」
・・・・・
ケアマネ「ご主人は長年苦労をかけてきたDさんの介護をしたいと強く思われている。今ではそれがご主人の生きがいになっている。生きる意味になっている。だからご主人にとってDさんは元気ではダメなんです。Dさんの具合が悪くて、どんどん落ちていくことを望んでいるんです。」
ケアマネ「そしてそんな御主人に対してDさん自身もそうやって落ちていく自分に存在としての役割と価値を見出している。あのご夫婦はそうやって生きている実感を得ているのだと思います。」
ケアマネ「私たちはもちろん、その人の生活を支援することが仕事です。でも、その前にその人たちが本当に望む、真の想いを汲んで、そのダメでも、できなくても、一般的に悪いと思われるものでも、それがその人たちの生き方であるんだと、まず“ありのままを受け入れて”あげなくてはならないんじゃないでしょうか。最後まで援助者として彼らの味方でいることが大事なんではないか。そう考えが変わってきたんです。」
私はハッとしました。
これまで相手を尊重するとか、人の想いに寄り添うとかいうことが大事だと訴えてきたのに、ややもすると、自分が良いと思う方向へ、Dさんを軌道修正しようとしていたのです。
自分が援助者であるがゆえに、その自覚が強いが故に、Dさんに対して力を持つ自分であるが故に、Dさんの生活を“直そう”としていたのです。それがDさんにとっての良い悪いではなく、私の思う、一般的な良い方向であったのです。
生活を支援すると言いながら、原因を取り除こうとする医療モデル的アプローチをしていたと気づいたのです。
専門職であること、力や知識・技術を持っていること。それは発揮してこそ意味がありますが、全ての人に自分の専門性というハンマーをもって問題を片付けようとしたら大切なことを見失い、自分本位になってしまいます。
もちろん、Dさんのように、最低限の生活維持への支援も大事です。そのことと、ご本人たちの想い、深層ニーズを汲んだ上で自分たちのハンマーを使うことが大事なんですね。その兼ね合い、ギリギリの見極めと介入、見守りに私たちの力量が問われるのでしょう。
これは、その人が望んでるんだからそうしましょ。という安易な自己選択自己決定的なものを肯定するのではなく、その人たちの真の想いと、それが一般的にダメなものであっても受け入れて、その先に援助者としてどのような支援を考えるかが大事であり、ダメなことに対してまず介入しようとすることの危惧をお伝えしたいのです。
難しいケースですが、対人援助職として一番大事なことを教えていただきました。
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Category 個別介護日記
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こういうデマンドは実はめずらしいことではありません。ただ、これがデマンドだと思い込んでしまうと、その気持ちに変化が出た時に見落としがちにもなります。
ですから、今は最低限の支援をしながら、注意深くお二人を見守る必要があるでしょうね。たぶん、言葉では出てこないので、雰囲気や表情から感じ取ることが必要でしょう。・・・・・・なんて書くと、「それでは“プロ”ではない!」なんて批判が出ることも多いんですが。プロって何だ?援助職って何だ?と思ってしまいます。
本人の気持ちはイコール命そのものでしょう。こちらで充分情報提供、助言・提案をして、その結果の本人の思いに対して、誰も非難なんかできないでしょう。ましてや「それじゃ自分たちが関わる意味がない」なんて考えは以ての外でしょう。
長く訪問を続けて働きかけても一向に自立支援には向かわない。ケアマネの意見をはじめ、ケアスタッフ、デイサービスの誰の気持ちも届かないように見える。
外からの支援を望んでいるように見えるので、実際に こちらから働きかけると、乗ってこない。
訪問介護士にとっては、相手が何を望んでどうして欲しいのか皆目つかめない面白くない訪問になりがちです。サービス内容もなぜか身体介護は依頼されず、食事の用意さえしてくれればいい。あとは自分(男性)がするという人が多いのです。
「介護している自分が好き」「介護されている自分が好き」と 困ったことに こういう夫婦共依存型が「認認介護」「虐待」に向かってしまうことが実際ありますね。
家庭に定期的に訪問しているヘルパーにこそ、観察見守り能力と介入判断のセンスが必要ですが、本当に難しい。こういうお宅はヘルパーの方から辞めていったり、頻繁にヘルパー交代させられたりが多いのも事実です。
私も悩む事例をうまく記事にされたので、思わずコメントさせていただきました。
ケアマネさんはうちの事業所のケアマネなんです。おほめの言葉嬉しく頂戴いたします。
日本人は昔から思いやりと察するが美徳なような気がします。そういう国民性から、援助職たるもの『なにかしてあげる』ということが基本にあるのでしょう。
しかしながら、『なにかしてあげる』だけの援助職、とくに介護職であればその専門性は半減します。
してあげるではなく、その真のニーズを汲み取り、本人の主体性を引き出しながら、黒子になって支援することに介護の専門性があると思います。
それこそ介護職ではむしろ“プロ”なのです。
まずは日本人の国民性も理解しつつそれを転換させていくことが必要ですね。
前コメントにも書かせていただきましたが、やはり日本人独自の『してあげる』価値観が根底にあるが故の苦悩だと思います。
そもそも法的に『日常生活に支障があるものにつき・・・』とありますね。
“支障”って何でしょうね。だれが決める、誰にとっての支障でしょうね。
そこには本人ではない私たち全ての人から見て支障があると捉えられている気がします。
つまり“主観的価値観”を無視しているのです。
それとその人の客観的な生活支援の兼ね合いを見極めてい支援していくことが、今後の介護職には求められていて、そこに『してあげる』というただの日本人にはないプロの専門性があるのだと思います。
これがまた難しいのですがね・・・
こうしてお申し出頂いた上での転載でしたら喜んで。
是非ご活用ください!よろしくお願いいたします。
記事拝見しました。そのような転載ができるんですね。もう少しITを学びたいと思います。ありがとうございました。