介護の専門性が何故必要か

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介護の専門性が何故必要か

2010年1月22日


私は介護の専門性を確立することが必要だと考えています。主な理由は大雑把ですが3つ挙げられます。

1.介護する側のため(介護職)
2.介護される側のため(利用者や家族)
3.社会のため


現場介護職の立場からは主に1と2が目につきやすいものです。利用者さんのQOLだとか、感動の家族介護だとか、私たち介護職の人間的成長だとか、そういう精神的な部分での価値をお伝えすることが多いのです。
しかし、私の友人の言葉から『福祉と経済』もわかるように、やはり3からもしっかり考えなくてはいけないのです。この世界や社会の中で介護がどんな貢献ができるのでしょうか。



さて、人伝に聞いたことですが、厚生労働省の方がおっしゃっていたそうです。

「社会保障費や介護報酬を下げたくて下げているのではない。私たちだって現場で頑張っていらっしゃる介護職員さんや、介護を受ける方々のためにできるだけ予算を確保したい。しかし、INとOUTが釣り合わなければできないんです」

ということです。

厚生労働省の知人が数人いますが、彼らは決して鬼ではない。結構現場の人の声を聞こうと積極的に出向いて、交流をしているのです。だからこそ、私たち以上に、直接予算を削らざるを得ないことを残念がっています。

とにかく、介護保険にもお金がかかります。そのお金は国民の税金、保険料、国や自治体の予算が使われるわけです。例え人の生活に関わることでもその重要性が認識されなければ削られてしまうのです。

友人の言葉を借りれば、福祉は守られていることも知らずに、自分たちの権利ばかり主張しているのです。


しかしながら現場の介護職としては反対する意見もわかります。

・そもそも良い介護の価値を伝えたくても、良い介護ができる環境が整っていない。明日の生活も見えない中、情熱の介護だけで価値を伝えろというのが無理な話だ!
・そもそも介護保険制度という準市場(自由価格競争ができない)の中では限界が決まっている。


ただ、こういう意見もあります。

・社会福祉法人などの公益法人は税制優遇措置がある。
・第一種社会福祉事業は未だに一部法人の独占状態にある。



それぞれの議論にはそれぞれの意見があり、未だに解決していないこともあるので、ここでは詳しいことには言及しません。ただ、もっともだという意見が両方あるわけです。



こんな介護業界をあるサラリーマンに例えてみましょう。


「おれはすごく良い仕事をしたいんだ。でも給料が低いし、休みは少ないし、残業ばっかりだし。こんなんじゃ良い仕事なんてできやしないよ!」

『でも、おまえの会社は住宅保証も、財形貯蓄もあるし、保養所だってあるし、自社株制度もあるじゃないか。個人は大変かもしれないけど、俺から見たらすごい優遇されてるぞ。こっちは福利厚生なんてほとんど無いのに、海外の同業他社との競争で毎日リストラの恐怖と闘いながらパフォーマンス出してんだぜ』

「そんなこと言ってもなぁ、それはお前がそういう会社を選んだからだろ。うちは会社がもっとちゃんと保証してくれたら良い仕事してやるのにさ!」

『あのさ、普通良い待遇だから良い仕事をするんじゃなくて、良い仕事をした社員に会社は良い待遇を与えるもんじゃないのか?』



かみ合わない二人のサラリーマンの会話ですが、介護業界とグローバル企業という二人の人間がいたらこんな状態でしょうか?どちらの意見もわかります・・・



さて、視点を変えてみましょう。

高齢化率が7%を超えた国のことを高齢化社会と言いますが、2030年にはアフリカや中近東を除く世界のほとんどの国がこれに突入します。欧米やオセアニア、ロシアや中国は高齢化率14%以上の高齢社会になると言われています。

そうした中で50歳以上の会員4,000万人を有する世界最大の高齢者NPOである米国AARP(旧称:全米退職者協会)が最も注目している国は日本だということです。(村田裕之オフィシャルサイトより)世界一の長寿国は裏を返せばもっとも早く超高齢社会に突入する国であり、そこで展開される高齢者を対象にした様々な分野の市場が世界で最初に訪れるわけです。

望むと望まない関わりなく、日本がこの分野におけるパイオニアになれるかどうかを世界が注目しているのです。シニアビジネスだけでなく、より質の高い『介護』が大きなウエイトを占めてくることも容易に想像できます。


現在、福祉先進国と呼ばれるスウェーデンから日本は多くを学ぼうとしています。様々な療法や、制度、システム等。しかし、ご存じの通りそれは高負担高福祉というシステムや自立精神が根強い風土の上に成り立つもので、そのままの導入は難しいことは様々な研究者や視察の報告にあります。日本独自の制度やシステムの構築が急がれるということです。

さて、もしも、日本の介護が他国から視察される側になりえたらどうでしょう。スウェーデンへの福祉視察ツアーをインターネットで探したものでかなり大雑把に計算してみます。

一週間滞在して費用は20万〜35万くらいのようです。福祉視察に行く日本人の正確な渡航者数はわかりませんでした。しかし、単純に100人行けば2000万円以上ですね。10カ国から同じだけ視察に来たら2億円以上ですね。スウェーデン視察は観光業界と組んでビジネスとして確立しています。周辺産業への波及もあるとすると、世界から注目される日本の介護の質が向上すれば、それだけで一定の経済効果があるでしょう。

経済は詳しくない私による机上の数字遊びですが、介護も市場経済に大きく携われる、言い方を変えれば、自分たちで財源を稼げる可能性があるのです。



さて、大事なことがあります。

そんなに魅力的なコンテンツになるためには、介護それ自体の質の向上が必要です。つまり、介護の専門性の確立が必要だと考えます。

介護現場の人間からすると、利用者を見世物にして稼ぐなんて・・・という意見もあると思います。ただ、視察を受け入れる以外にも方法はあると思います。たとえば、ノウハウや研修を海外に輸出するとか、現にスウェーデンがやっていることで、日本がお金を払っていることです。

日本の介護は、先進諸国だけでなく、アジアという介護ニーズが今後ますます拡大してくる地域から見ても非常に参考になるのです。

現に、先日いらした韓国人留学生の実習生さんは「韓国はまだ介護問題は先ですけど、必ず必要になる分野として注目されてます。だから私はいち早く日本に学びに来ました。まだ介護は家族介護中心で、日本よりも壁が高いですが、今後必ず求められます」とおっしゃっていました。

介護それ自体に市場価値が高まれば、単に予算を削るのではなく、もっと成長産業として積極的に予算を取ろうという動きになるかも知れません。人の生活をそうした価値で図られることは悔しいですが、それもまた事実です。



介護の専門性の必要性を、ちょっと俯瞰して考えてみました。

こういう視点からも、介護の専門性が確立されることは必要ではないでしょうか。
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この記事へのコメント
現実的に考えれば、今回kinsanが提案された視点も必要でしょうね。
しかし、福祉の向上を考える上で、個人的にはそもそも現在の市場原理主義と言うんでしょうか・・・そんな社会のあり方が引っかかります。
また、コメントする場所が違いますが、以前の提案(福祉と経済)の中で、kinsanの友人が語ったとされてる「こんなことなら日本を出て行く」みたいな一言にも、変な胸騒ぎみたいなものを感じます。
そして、どうも、この「引っかかり」と「胸騒ぎ」が関係してるような気がしてなりません。

あくまでも、すべて感情論ですけどね・・・(苦笑

まあ、マクロソーシャルワークなんて言っちゃったら話が大きくなりますが、そんな感じの視点を持つことは大切な事だと考えてはいます。
私たち介護職も、もっともっと幅広く勉強しなければなりませんな。。
Posted by ケアマン at 2010年01月23日 01:42
ケアマンさんコメントありがとうございます。

そうですね。今回の記事はおっしゃるように欧米各国や発展最中の国々に広がるマクロ経済からみたものですが、そもそもそのマクロ経済自体への違和感という感じですね。

そりゃそうだけど、それだけで良いの?
勝ち負けだけがすべてなの?

というところでしょうか。


その議論自体はここではできませんが、もっと違う構造があってもよいのかもしれませんね。私にはそこまでの知識はありませんので、今現在の中で考えてみるしかないのですが。

本当にもっともっと幅広く勉強させていただきたいですね!!
Posted by kinsan at 2010年01月23日 07:12
kinsanへ

介護のグローカリゼーション、と理解すればよいでしょうか?
世界に発信できるかたちにまで介護業として成り立ってほしいものです。

過去を振り返り、比べて見られるものはないか?
そこで、日本の代表的企業のトヨタを例にして考えてみました。

トヨタも織物の自動織機製造から、今の規模になりました。
最初は、家内制手工業レベルだったでしょう。
それが、扱う品目を高度化し、技術を磨き、社員を守り、
トヨタで働く事の誇りを作り上げていきました。

*良い自動車商品を作るために、デザイン・設計・生産・販売の
 各部門の専門性を高めた結果でしょう。

戦後、国の補助なしで、自動車の品質を高め、国内・海外に
販路を広げました。

研鑽を積んでいく中で、海外進出の圧力もあり、
言葉も文化も価値観も違う人々をトヨタマインドでまとめ
品質の高い製品を出し、高い地位を確保しました。

その努力をよく観察する必要はないでしょうか。

トヨタでは、自前の専門学校を運営しています。
中学卒の少年を無償!で教育します。現場研修もあり
給料!もでます。卒業すればトヨタへ入社です。
〜期卒業ということが分かると卒業生同士結束も固まります。

生産ロス、在庫ロスを最低限に抑える為“看板方式”という手法も
全世界のトヨタ工場に広めました。

改善:解決と処置を現場で行う。−根本的な問題の取り組みが解決
               −対処的に生産を止めないのが処置
現場で“解決”をすすめる改善を実施する。
(うろおぼえの記憶ですので間違いがあるかもしれません。その場合はご容赦を)

さて、介護業界もこれだけの努力をしているでしょうか?
“楽して給料あがればいい”的な考えが全体の何割あるかはさだかではありませんが、
クオリティの高い仕事を見てもらってはじめて、世間に物申せるのではないでしょうか。

まずは、日々の仕事に励む事。
ご利用者の生きる気持ちを大切に、
具体的なケアに形作ることでしょうか?

私たち自身の仕事を守るためにも!
Posted by ウエッティ at 2010年01月23日 09:51
はじめまして。雲母さんのグループから来ました。横浜の老健に勤めてます。自分の職場も含めてなんでしが、三好さんが痛快に批判した、「トイレでの排泄よりもコミュニケーション」がまだまだ多くの現場でのレベル=質ですからねぇ。それで、給料上げろ!とよく言えるなぁ、というのが私の感想です。接遇が大事なんて、当たり前で、それを前提に、実習生やボランティアにはできなくて、介護職にできるのは何?こういう方向からの議論が主流にならないのも不思議ですね…。
Posted by ささき at 2010年01月23日 23:06
ウエッティさんコメントありがとうございます。
グローカリゼーションという言葉を初めて勉強させていただきました。知らなかったので、この記事ではそこまで深く考えて書いたものではありません。恐縮です。

今でこそ世界のトヨタですが、歴史を紐解くとそのような歩みがあったのですね!!学ばせて頂きました。

さて、今回の記事では「現場よ!権利を叫ぶ前にもっと努力しろ!」というメッセージが強くなっているかもしれませんので、あえて現場をフォローしてみます。

動物園のゾウと足かせの例え話をご存知でしょうか?

ゾウは子供のうちは頑丈な足かせをつけて逃げられないようにされます。小ゾウは暴れますが、頑丈な足かせは外せず、逆に自分が傷つきます。そしていつしか暴れなくなります。
そうすると、足かせはもはや飾りで、それ以上頑丈なものにしないということです。大人になったゾウならば簡単に外せるのに、子供のころの忌まわしい記憶が体に刷り込まれていて自分の限界を勝手に決めてしまうのです。

介護業界は、よくよく考えたら医療費の増大、看護業務の多忙さ、高齢化等、様々な要因から生まれてきたものです。介護福祉士も初めは三大介護をするだけで良いという考えでした。世間からもそう位置付けられてきました。
そういう時代に介護を担ってきた現場の人たちが今は管理職レベルにいるとすれば、まさにゾウの刷り込みに近いかもしれません。

だからこそ、ゾウが本当の自分の力を発揮するには、様々な働きかけが必要ではないでしょうか。

確かに、財源その他の問題も解決が必要です。しかし卵と鶏ではないですが、それらの問題と専門性と、並行して考えていかなければならないですよね。
Posted by kinsan at 2010年01月24日 08:05
ささきさんコメントありがとうございます!はじめまして!

先日「こころはなぜ不自由か」という本を読みました。

その中で「自由・不自由というのは選択肢がある中で、それを選べるか選べないかという中のことだ」という内容に記述がありました。

外から見たら、もっと義務を果たしたうえで権利を主張しろ!と言いたくなるかもしれませんが、上述のコメントのゾウと足かせの例え話と同じように、そもそも、そういう体質で来てしまったこの業界において、それを求めることもいささか厳しいかもしれません。義務を果たすという自由、不自由自体を知らない中にいたのですからね。

しかし、介護保険も10年です。そろそろ、ゾウも目覚めることを知らないといけませんよね。
Posted by kinsan at 2010年01月24日 08:12
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