介護福祉士の専門性

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介護福祉士の専門性

2011年11月15日


少し前になりますが、スピリチュアルケアの研修会に参加してきました。
内容は実際に緩和ケアに携わっていらっしゃる全国の実践者と小グループでの事例検討を行うというものでした。

現場でもなかなか揃わないであろう多職種メンバーによるカンファレンスを行いました。
知識を学ぶという研修ではなく、より実践レベルに落とし込んで、事例についてアセスメント、ケアプランまでを制限時間内に立てるというものでした。
そして続けざまに数本の事例に取り組みました。

「だって現場ではゆっくり時間とって話し合っている暇ないでしょ?みんな忙しい合間にカンファレンスを開くんだから」
という講師の先生のニヤリ顔。。。


今まで参加した研修で一番ハードでプレッシャーが大きい研修でした。

今日はそのことを書いてみたいと思います。


私のチームは私を含めて6名。

・緩和ケア病棟の医師
・緩和ケア病棟の看護師
・病院の医療ソーシャルワーカー
・デイの介護福祉士である私
・傾聴ボランティアの方がお二人

事例の内容はざっくりと下記のような内容。

肝臓癌の70代女性Bさん。緩和ケア病棟に入院した。
消化管閉塞と診断。症状の改善無く、放射線治療は中断された。
食べることが大好きな方。

看護師による傾聴から次のようなことが見えてきた。

・一家の母親として頑張ってきたが、治療も中断され自分が情けなく辛い。
・このまま入院していても自分の望む最期ではない。
・自分には回復の見込みが無いことは分かっている。
・早く逝きたい。
・家族(夫、息子夫婦)に迷惑をかけずに逝きたい。
・延命はしないでほしい。
・夫が心の準備をする必要があるし、もう少しだけ頑張りたい。


ここから、チームメンバーがそれぞれの視点や職域からどのような支援を展開していくかを提案していきました。
その際、チームはBさんという人を中心に『Bさんの存在と生きる意味を支える、強めるためのケア』という目標を共通認識としました。

【意見の概要】
@医師:疼痛のコントロールを継続すること、また経口摂取ができるようなイレウスのバイパス手術ということも視野に入れながら、Bさんの残りの時間のQOLを高めたい。
A看護師:食べることが好きなBさんが、少しでも経口摂取できるように工夫していきたい。家族を含めて看取り、最期をどのように迎えたいかを共有していきたい。その他身辺の手伝い。
B医療ソーシャルワーカー:望む最期を共有し、病院ではなく在宅に戻れる可能性を探りたい。家族の介護力を見極めながら、関係調整をしていきたい。
C傾聴ボランティア:傾聴をし続けたい。


他の職種の皆さんが順番でそれぞれの視点、職域からBさんへの支援の方向性や具体策を提案していきました。

介護、しかも介護度が比較的軽いデイでの仕事経験が長い私は、久しくターミナル期の方に接していません。多くて年に2人です。
チームメンバーの意見を聞きながら頭の中では

「んんん〜〜〜〜、ドクターは医行為できるからいいなぁ・・・・」
「んんん〜〜〜〜、なんて言おう???あぁ、言おうと思ったこと看護師さんが先に言っちゃった。やっぱり看護師さんは視点が介護と似ているもんなぁ・・・」
「んんん〜〜〜〜、MSWは本人家族のニーズと在宅での看取りとをって、あぁ、そっちの視点もやっぱり福祉職だから、先に言われちゃったなぁ・・・」
「んんん〜〜〜〜、傾聴ボランティアさんたちの傾聴スキルは並みの介護職じゃ太刀打ちできないレベルだからなぁ・・・んんん〜〜〜」


と、内心言うことが減っていってしまい、まるで今の医療福祉業界の縮図を見ているような感じでした。
介護福祉士の専門性は???何ができるの???どういうことが得意なの???どんな視点を持っているの???

ううう、かなりのプレッシャー。。。まるで全国の介護福祉士を代表しているような程のプレッシャー。

『介護福祉士として、あなたはこの緩和ケアチームにおいて何ができますか???』



・・・・と半分焦っていたのですが、半分は冷静な自分がいました。


さて、私は気になる点が二つありました。

一つはBさんと夫との関係性
もう一つは食べることが好きなBさんだけれども、今そこまで経口摂取を望むだろうか?ということです。


事例の詳細を省いているので伝わりにくいですが、死期を悟ったBさんは、多くのものを手放していく中で心残りなのは、夫との別れの時間、もっと言えば、遺される夫が妻(Bさん)の死を受け入れる時間についてだと私は感じました。
食べることが好きなBさんが少しでも経口摂取ができるような生活上の支援は必要かもしれませんが、今このBさんが『存在と生きる意味を支える、強めるため』には、この心残りに対しての十分なケアが必要ではないかと思ったのです。


そうすると、Bさんの状態が穏やかな時間を増やし、夫との一緒に過ごす時間の質を高めることが大事だと考えました。
しかし、私は介護福祉士ですから、状態を穏やかにすると言っても医療的な疼痛緩和等には関与できません。
すると、私に何ができるかと言うと、Bさんの日常生活上の環境を整えることだと思いました。

夫との時間の質を少しでも高めることが、Bさんの存在と意味を強める支援になる・・・

例えば、整容。
身体的痛みに苦しむ癌患者であるBさん。せっかくの夫との面会時に髪を振り乱し、汗だくの寝巻を着ている状態でありたいだろうか?
最期まで女であり、妻として夫と時間を分かち合いたいと思わないだろうか?
それならば、髪を梳かし、更衣を手伝おう。

他にも夫が面会に来る病室をきれいにする。夫と話せるだけの体力を大切にするために、24時間中の生活行為を面会時間に充てられないだろうか。。。


私の半分焦りながらも、引っかかりを感じた点を発表したところ、メンバーからは驚きの声があがりました。

「最期まで女らしく、妻としての支援・・・そういう視点はありませんでしたね(医療従事者)」
「ご主人との関係性ね・・・そこの時間の質を高めるという視点、どうして思いつかなかったんだろう(MSW、傾聴ボランティア)」

自分がなんか気になるんだよなぁ、と感じた点から意見を言ったつもりでしたが、それが他職種にとっては盲点だったということ自体が私の驚きでした。

専門性やアイデンティティって異なる他者、比較する対象があって初めて浮き上がってくるものなのだと感じました。



介護福祉士は行為としては日常生活上の援助(身体介護や生活援助)という点で看護師に近いものがあります。
同時に立脚している立ち位置としては、治療やキュアと言う医療ではなく、自立支援やソーシャルワークという福祉職にあります。
そして業務独占はいまのところありませんが、生活者である利用者(患者)の日常生活に一番近く多く接している専門職です。


こうした特徴を持つのが介護福祉士という専門職なのではないでしょうか。

福祉職的な視点や理念を持ち、直接援助行為を行い生活を支援していく。他職種に重なるところが多分にありますが、逆にとらえれば他職種のいいとこどりをしたハイブリッド?


介護なんて・・・と思う必要はないし、介護福祉士だって立派な専門職です。その自信と誇りを持って良いのだと改めて、今まで以上に自覚できる研修会でした。


そして、最後に感じたこと。

介護福祉士はチームの中で重要な専門職のひとりだということ。しかし、この自覚は介護福祉士ほど無いのではないでしょうか?どうせ介護なんて・・・と。
しかし、チームで協働する時、他の専門職の方が、私たち介護職を専門職として見ています。そしてチームの一員として良い意味で期待をされています。
介護職の視点、理念、できること、きっとあります。私たちだからこそできることが。
その専門職としての自覚を持って、目の前の利用者さんの『存在と生きる意味を支える、強めるためのケア』を実践する一人になりましょう!

誇りを持とう!介護福祉士!!(^o^)/~~オーッ!!

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この記事へのコメント
一発かませてよかったです。

別の所で(拙ブログかも)書いたかもしれませんが、
医療や看護は専門性がはっきりしていますよね。
「救急救命」という専門性があります。
一方介護福祉士の専門性はなんだろうか?
どんな意味合いを持つのだろうか?と考えていました。

最近思うのは介護福祉士の専門性は「透明な専門性」なのではないか。

介護福祉士の専門性は見えにくいのではないか?
生活の中に溶け込めば溶け込むほど、当たり前の楽な生活に
近づけば近づくほど「専門性が透明になる」そんなものではないだろうか?
そう思えてきたのです。
でもそうなるには、かなり様々な面で介護の理論と技術が発揮されなくては
その生活は維持できないだろう。
だから社会から評価されにくい面がある。

そうであるならば、尚の事これからの社会に無くてはならない存在ではないか。
哲学や理論や技術を構築し、実践できる形にしなければいけないのではないか?
そう思うのです。
Posted by ウエッティ at 2011年11月17日 02:04
ウエッティさんコメントありがとうございます。

まぁ争いではないので、かませなくてもそれは私の未熟さです。。。

私が思うに、専門性は“あるもの”ではなく“作られるもの”だと考えています。

一昔前は看護の仕事だって社会的に認められる専門性を有しているとは言えない時代があったと聞きます。
現場の看護師の方々が一つずつ実践や研究を積み重ねてきた結果なのではないかと思います。

ですから、私たちが介護の中に専門性を見出そうとすることではなくて、目の前の利用者さんのためにどうすればより良い仕事ができるか?ということを地道に実践していくことなのだと思います。
Posted by kinsan at 2011年11月17日 13:21
コメント失礼致します。

これから 基礎的な概念の上に新しい形となる上澄み部分を正に手作りで作っていかなければいけない新しい概念何だなと改めて 最近思います。

資格職として立場や業務の優位性は決して高いとは言えませんが現時点では致しかたないと思います。

未来を作り未来を創造していく事が従事者に求められていると思います。
Posted by J.S(鈴木淳一) at 2012年01月16日 11:33
J.Sさんコメントありがとうございます。

おっしゃる通り、私たち現場の人間が利用者の代弁者となり、介護を創っていかなければいけませんね。
Posted by kinsan at 2012年01月17日 01:57
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