『見守り』という言葉の整理

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『見守り』という言葉の整理

2012年7月31日

先日、Facebook上で『見守り』について意見交換を行いました。

私たちは介護現場において『見守り』という言葉を多用していますが、私自身を振り返ると『見守り』とはどういうものかを明確に教えられたことはありませんし、明確に伝えることはしてこなかったように思います。
しかし、見守り歩行中に転倒してしまったり、食事を見守りしていたつもりが、誤嚥してしまったりなど、見守りは常に事故と隣り合わせなものではないでしょうか?

対人援助の専門職として、安易に、そして曖昧なままの『見守り』を使うのではなく、専門性としての『見守り』を行いたいと思います。
皆さんとの意見交換を踏まえ、『見守り』という言葉について少し整理をしてみたいと思います。


まず、在宅介護に従事している私が『見守り』と聞くと「自分である動作をすることができる利用者さんが、その動作をする時に、いつでも手助けできる状態で待機していること」とイメージします。
しかし、皆さんと意見交換をすると、『見守り』はそれぞれの立場によって様々な『見守り』の目的、範囲、領域、条件等があるようです。
それらを以下に列挙してみます。


【見守りの目的】
・安全 ・安定 ・安心 ・自立支援 ・リハビリテーション ・人権擁護


【見守りの範囲】
・一体一の関係 〜 隣近所の地域
・動作 〜 活動 〜 生活


【見守りの領域】
・高齢者分野
⇒在宅
⇒介護施設
⇒認知症を持つ方
⇒養護老人ホームなど

・障害者分野
⇒身体障害者
⇒知的障害者
⇒精神障害者

・児童分野


【見守りの条件】
・アセスメント
・説明責任
・同意
・計画策定


まず、見守りということは、専門職や家族、地域の人、その他が、対象となる人の動作、活動、生活という各レベルにおいて、その対象者の安全や自立、安心などを促すという目的を持って関わる、ということが共通的なこととしてあげられるようです。
そして、各領域における各範囲において、それぞれの見守りの細かい目的や手法等が考えられるようです。厚生労働省のホームページなどから色々と検索したものを引用してみます。


@『平成12年度「障害者・児施設のサービス共通評価基準」による各施設の自己評価実施状況について 別紙3 着眼点において語句が曖昧であると指摘のあった箇所に関する解説』より
http://www.mhlw.go.jp/topics/0105/tp0525-1c.html
⇒「見守り」とは、利用者の自主性や主体性を保つために、利用者の行為を施設職員の判断のみで規制することがないように採られる、利用者支援の一方法である。しかし、明らかに怪我や生命の危険があると判断した場合には、職員が速やかに支援することが必要


A『安心と希望の介護ビジョン提言 帯広けいせい苑 村上勝彦氏』より
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1001-4i.pdf
⇒見守りとは
*入所者の身体上、精神上、疾病上個人の特性を日常の状況から把握し
*その人の活動時予測される状態変化に対して
*目視やコミュニケーション等、間接的に関る事により
*自立性を損なうことなくその人の主体性や意欲を尊重して支え
*その人の生活の充実感・満足感を最大限引き出す
*特養の高度なケア手法が見守りである


B『結いっこサービス』より
http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/anshin-seikatu/dl/1-06_03.pdf
⇒「見守り」とは
@早期発見(安否確認、変化の察知)
A早期対応、対処
B犯罪被害等を予防する危機管理
C生活に必要な情報提供や助言を提供する情報支援
D孤独感を軽減したり、安心感を与える不安解消


C『認知症ネット 認知症ケアの基本』より
http://www.chihou.net/care/kihon/index.html
⇒認知症の人の日常生活を阻害しないで、目で確認できる範囲で行動を観察し、現状把握を行うことを見守り・観察ケアといいます。


D『指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準』
⇒「福祉サービスの提供にあたっては、利用者又は他の利用者の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為を行ってはならない」
⇒「やむを得ず身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録しなければならない」


@は、障害者・児分野において、その対象者の行動などを安易に制限しないよう、その目的が自主性や主体性を保持するための支援方法と述べています。

Aも@と同じく、特別養護老人ホームにおいて、その利用者の主体性・意欲・満足感などを引き出すための手法として書かれており、それにはアセスメントや目視やコミュニケーションなどの関わりを用いることが必要と述べられています。

Bは地域において、在宅で暮らす対象者に、地域の人々が関わる見守りの目的を述べています。

Cは、認知症の方に対する見守りの目的をアセスメントから具体的なケアにつなげるための入口として位置づけています。

Dは、見守りが必要となる背景に、安易な行動抑制や身体拘束などが人権を侵害する可能性があることを示唆し、それを防ぐための根拠法として引用しました。抑制してしまえば簡単ですが“それをせずに見守る”ということの根拠となるものです。


こうして見ると『見守り』といっても、それを行う人、見守られる人の様々な立場によって、その範囲や、領域、ポイントや目的が異なってくるようです。
それが実に安易に使われていて、曖昧なまま、それぞれの解釈で現場に広がっているようなことに気づかされます。

また、語彙の幅が広く、解釈が多様になってしまうにもかかわらず、障害程度区分や要介護認定などにおいても『自立・見守り・一部介助・全介助』というように使われています。
こうしたことも、現場で働く人や、一般の方が言葉を曖昧なまま解釈してしまう要因ではないかと思います。



さて、最後に、こうした幅広い意味や解釈を含む『見守り』ですが、これを行う側に求められる共通点があることを整理したいと思います。

・どんな『見守り』においても、その見守られる側の対象者の、総合的なQOLの向上、人権保持などが目的とされる。
・そのために、その対象者の能力や、ニーズ、必要性、リスク等をアセスメントし、どういう『見守り』が必要なのかを計画立案する。
・その計画を本人、代理人などに説明し、同意を得る。
・これらのことを関わる者で共有すること。

これが、『見守り』の実践において求められる共通項であるように考えられます。
これらが曖昧でなあなあなままでいると、万が一の時に事故や責任問題につながるものと思われます。
これは双方にとって本当に不幸なことです。



私は今回、あることがきっかけでこの『見守り』について考える機会をいただきました。
また皆さんと意見交換をさせていただき、曖昧なまま現場をこなしていたことに気づきました。
自分の現場における、対象となる方の『見守り』について深く考えていきたいと思います。

最後に、全く違う業界人の私の妻に『見守り』について質問すると・・・
「意味はわかるけど、普通“見守る”とは言うけど、“見守り”なんて言わないよ」とのこと。。。
うん。なるほど。。。
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この記事へのコメント
わかりやすく説明していただきありがとうございます。
Posted by やぎやん at 2012年07月31日 21:34
やぎやんさん、コメントありがとうございます。
何かご意見ございましたらいつでもお待ちしております♪
Posted by kinsan at 2012年08月02日 07:51
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