介護における尊厳とは@

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介護における尊厳とは@

2013年3月5日

介護の仕事に就く者は「尊厳」という言葉が、非常に大切な概念だということを習います。
しかし、介護職が実践する「尊厳」とは一体何なのでしょうか。
これまでも、このテーマに関して記事を書きましたが、改めて介護と尊厳について2回に分けて考えてみたいと思います。

今日は尊厳の意味と、現代的な位置について。



まず、尊厳という概念について二人の哲学者の言葉から考えてみます。

カントは尊厳に関して「理性的存在者の自律(自己立法)こそ人間存在およびあらゆる理性的存在者の尊厳の根拠なのである(白井成允・小倉貞秀役『道徳哲学』岩波文庫、1954年より)」と述べています。
簡単に言ってしまえば(哲学者の方などに怒られますが)、理性を持って自律的に生きる人間という存在は尊厳を内に有している。
⇒@理性・自律を持つ人間の内に尊厳がある、ということです。

ロバート・グッディンの「尊厳という尊ばれるものは、これを尊ぶ行為によって創造される」という言葉から、近藤良樹は「尊厳は元々から対象に内在しているのではなく、外部から別の者がこれを尊ぶことをもってはじめて尊厳は創造される」(近藤良樹 人間の尊厳−尊厳は支配関係に由来する より)」と述べています。
つまり、尊厳は内に有するものではなく、その相手を尊厳ある対象として周囲の者が扱うかによる、ということ。
⇒A他者がその対象を尊厳あるものとして扱うかによる、ということです。

両者は尊厳は内在するものか、外から与えられるものかで、意見が違いますが、私は両方共大切な視点だと思います。
二人の言葉からすると、尊厳は『自律的に生き、またそのように生きることを他者から尊重されたり、尊重されるべき存在と扱われること』であると私は考えます。



さて、次に、尊厳という言葉の変遷と現代の捉えられ方について考えてみたいと思います。
辞書で調べると「尊厳」は・・・『尊くおごそかなこと。気高く犯しがたいこと。また、そのさま』とあります。
もともと、尊厳は神仏などに対して使われる言葉であったそうですが、戦後は世界的人権意識の高まりにより『人間の尊厳』『個人の尊厳』『生命の尊厳』などと使われるようになったようです。

つまり、現在では、人類全般、または個人、一つの生命という題材において『尊くおごそかで、侵し難い、不可侵なもの』=尊厳、として考えられるのです。

そしてこれを守ることを法的に明文化したものが、憲法による『基本的人権の尊重』であり、これが守られることが尊厳と同意と受け取られているようです。

ただ、基本的人権は時に国家権力や社会、他者によって制約されることがありますし、努力をしなければ簡単に侵されてしまうものなのです。
憲法第12条『この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。』を守ることが大切だということです。

つまり、B尊厳とは、尊く厳かで、不可侵でありながら、現代では実に簡単に侵されてしまう危険性があるものだということ、Cだから、それを守るための努力を怠ってはならないということ、ですね。


このBCをもう少し考えてみたいと思います。
CiNii Articles で『尊厳』をキーワードに検索をしたところ、たくさんの論文がヒットしました。その、タイトルだけで私が個人的に大雑把な分類をしてみました。

・尊厳死(19件)  ・高齢者介護(17件(内排泄ケア13件))  ・終末期(11件)
・薬害エイズ、アスベスト等国の権利侵害関係(10件)  ・原発問題(10件)
・哲学的思考(9件)  ・生活困窮者問題(4件)  ・労働問題(4件)
・死生学(4件)  ・看護研究(3件)  ・戦争(3件) ・胃瘻(3件)
・子供の権利(2件)  ・女性の権利(2件)  ・部落差別(2件)
・中絶、慰安婦問題、リハビリ、生殖、安楽死、脳死・臓器移植、脱北者、夫婦同姓、地域包括ケア
等(各1件)


ここから見えてくるものは、尊厳というテーマが取り扱われ、議論や問題が生じているのは、生命や、死、基本的人権、などに対する領域と言えます。
いずれも『人間の尊厳』『個人の尊厳』『生命の尊厳』などが、国や社会、専門職、他者から侵害されていることに問題を投げかけていたり、取り戻したり、侵害されない(しない)ような方法を探るものだと思われます。




ここで一旦まとめてみると

尊厳とは『自律的に生き、またそのように生きることを他者から尊重されたり、尊重されるべき存在と扱われること』であり、現代では憲法の基本的人権を国民全体が努力することでそれが守られると考えられている。
しかし、現代の複雑化した社会構造の中で、様々な衝突や新たな問題が発生しており、尊厳は簡単に侵害される危険性を持っている。

というところでしょうか。次回は、ここまでを踏まえて、介護における尊厳を考えてみたいと思います。

続編『介護における尊厳とはA』

参考資料:人間の尊厳−尊厳は支配関係に由来する−(論文集)近藤良樹
http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/metadb/up/ZZT00002/songen_kondo_yoshiki.pdf

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