介護における尊厳とはA

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介護における尊厳とはA

2013年3月18日

前回の記事で尊厳の意味と現代的な位置づけを考えてみました。

@理性・自律を持つ人間の内に尊厳がある。
A他者がその対象を尊厳あるものとして扱うかによる。
B尊厳とは、尊く厳かで、不可侵でありながら、現代では実に簡単に侵されてしまう危険性がある。
Cだから、それを守るための努力を怠ってはならない。

尊厳とは『自律的に生き、またそのように生きることを他者から尊重されたり、尊重されるべき存在と扱われること』であり、現代では憲法の基本的人権を国民全体が努力することでそれが守られると考えられている。
しかし、現代の複雑化した社会構造の中で、様々な衝突や新たな問題が発生しており、尊厳は簡単に侵害される危険性を持っている。


今日はこれらを踏まえて、介護における尊厳とは何かを考えてみたいと思います。

まずCから考えてみたいと思います。
国民全体の努力で、尊厳を守っていくということは、個々人の優しさや思いやりなどが大事です。しかし、それ以外に国民の努力の仕組みとして社会保障システムがあると思います。この具体的仕組みが介護保険制度や障害者自立支援法などになるわけです。

介護保険制度は、老いや障害、疾病などによって日常生活に支障がある方を社会全体で支えていこうという仕組みであることはみなさんご存知の通りです。
つまり私たち介護職は、介護保険制度をはじめ、諸制度に規定された仕組みの中で、実際に利用者となる人の尊厳を保持する役割の一端として機能している、とも言うことができます。
地域包括ケアシステムでいうところの「共助」機能の一端なのですね。

「誰でもできる」とよばれた介護行為が、今では社会的な仕事として諸制度の中で機能し、さらにより質の高い専門職として国家資格を与えられるまでになりました。

つまり、介護という仕事は人の尊厳を守るという国民の努力の具体的な形として、その責任の一端を担う社会的職業であると考えることができるわけですね。


次にBを考えてみたいと思います。
社会的責任を担う介護職ですが、そこには「介護する側」「介護される側」という立ち位置がどうしてもみえてしまいます。
介護職に限らず、対人援助を行う職業というのは、医師でも看護師でも、弁護士でも、専門職側に情報や知識などパワーが偏ってしまうことがあります。
つまり、このパワーを正しく行使しないと、相手の尊厳を守るべき専門職が、時に相手の尊厳を侵しかねない危険をはらんでいると言えます。
ですから、介護職(介護福祉士)はじめ、諸専門職には、法的な位置づけや、職能団体などによる「倫理規定」なるものがあるわけです。

社会福祉士及び介護福祉士法
第四十四条の二  社会福祉士及び介護福祉士は、その担当する者が個人の尊厳を保持し、自立した日常生活を営むことができるよう、常にその者の立場に立つて、誠実にその業務を行わなければならない。

『日本介護福祉士会倫理綱領』
前文
私たち介護福祉士は、介護福祉ニーズを有するすべての人々が、住み慣れた地域において安心して老いることができ、そして暮らし続けていくことのできる社会の実現を願っています。そのため、私たち日本介護福祉士会は、一人ひとりの心豊かな暮らしを支える介護福祉の専門職として、ここに倫理綱領を定め、自らの専門的知識・技術及び倫理的自覚をもって最善の介護福祉サービスの提供に努めます。
(利用者本位、自立支援)
1.介護福祉士は、すべての人々の基本的人権を擁護し、一人ひとりの住民が心豊かな暮らしと老後が送れるよう利用者本位の立場から自己決定を最大限尊重し、自立に向けた介護福祉サービスを提供していきます。
(専門的サービスの提供)
2.介護福祉士は、常に専門的知識・技術の研鑽に励むとともに、豊かな感性と的確な判断力を培い、深い洞察力をもって専門的サービスの提供に努めます。また、介護福祉士は、介護福祉サービスの質的向上に努め、自己の実施した介護福祉サービスについては、常に専門職としての責任を負います。
(プライバシーの保護)
3.介護福祉士は、プライバシーを保護するため、職務上知り得た個人の情報を守ります。
(総合的サービスの提供と積極的な連携、協力)
4.介護福祉士は、利用者に最適なサービスを総合的に提供していくため、福祉、医療、保健その他関連する業務に従事する者と積極的な連携を図り、協力して行動します。
(利用者ニーズの代弁)
5.介護福祉士は、暮らしを支える視点から利用者の真のニーズを受けとめ、それを代弁していくことも重要な役割であると確認したうえで、考え、行動します。
(地域福祉の推進)
6.介護福祉士は、地域において生じる介護問題を解決していくために、専門職として常に積極的な態度で住民と接し、介護問題に対する深い理解が得られるよう努めるとともに、その介護力の強化に協力していきます。
(後継者の育成)
7.介護福祉士は、すべての人々が将来にわたり安心して質の高い介護を受ける権利を享受できるよう、介護福祉士に関する教育水準の向上と後継者の育成に力を注ぎます。
(この倫理綱領は個人的にはまだ未成熟だと思いますが)

ですから、社会的な職業である私たちがこの倫理などを守りながら仕事をすることに、介護における尊厳の一面があると思います。


するとAも、これと同じことが言えるのではないでしょうか。
介護に当てはめて考えてみましょう。
私たちが日頃利用者さんと接する際の全ての言動に敬意や、誠実さ、丁寧な介護行為、本人が大切にしているモノ、コト、価値観などを大切に扱う、ということが当てはまると思います。
時にこちらが理不尽な目にあったり、マイナスの感情をぶつけられたりすることもあるかもしれません。しかし、対人援助専門職として、その人の可能性を信じ、どうすればより良い生活主体者になって頂けるかを考え続ける(寄り添う)とすれば、その過程に介護職としてAがあると言えるのではないでしょうか。

そして@です。
人間が理性•自律を持つ、とは、私は自己選択•自己決定だと思います。
どんな状態であろうと、その人が自分の生活主体者であると信じ、その人が自分の生活における選択をしていけるような支援です。
具体的にバイスティックは「問題解決の方策についてメリットとデメリットを検討しつつ自己決定に至る過程を一緒にたどったり、さまざまな選択肢を用意するなど自己決定の条件整備をすることも求められる。そして、その利用者の自己決定を促し尊重する」などと述べています。
実際の介護場面では小さな選択かもしれませんが、その積み重ねにこそ@でいう、人の尊厳があるのではないでしょうか。



以上のようなことから、介護における尊厳をまとめてみると

T『私たち介護職が相手の尊厳を保持する社会的役割の一端であることを自覚し、その言動が相手に与える影響を意識しながら、職業倫理を守り、誠実に敬意をもって介護行為を行うこと。その過程において、本人の自己選択に資するように諸所の環境整備を行い、自己決定を支援すること』

となりました。

そして、最後に英語の「Dignity」という語意から考えてみたいと思います。
この語には「尊厳」の意味の他に「自らに価値があると感じること」自尊心や自尊感情などと同等の意味が含まれているそうです。
そうすると、先に述べたように介護における尊厳を私達介護職が利用者さんに向けて行った結果として

U『利用者ご本人が「自分が大切な価値ある存在として扱われた」という感情なり想いを抱くこと』が大切なのではないかと言えます。


TUは具体的に数値などで言い表せられるものではありませんが、これらの条件が整ったとき、介護における尊厳が守られるのではないかと考えます。介護における尊厳は、そこにあるものではなく、本人と私たちの協働的営みの中から現れてくるそのものと言えるかもしれませんね。

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