団塊の世代を前にした介護

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団塊の世代を前にした介護

2013年6月26日

2025年まであと12年。いわゆる団塊の世代が後期高齢者になると言われる時代が目前に迫っています。
これを受けてこのような言葉を耳にすることが増えてきました。

『これからの年寄りは、今の年寄りと違って権利主張をしっかりしてくる』
『これからの時代は、今までのような介護ではニーズに応えられない』

私にはよく理解ができない言葉です。言いたいことはわかりますが、本質とズレているような気がします。
このようなズレた団塊世代危機感が流布されていて、そちらの方にこそ私は危機感を抱いてしまいます。

来るべき2015年問題のうち、この団塊の世代への介護のなにが本当に問題なのか、それを考えてみたいと思います。



まず、冒頭の言葉の矛盾点を考えてみましょう。

@『これからの年寄りは、今の年寄りと違って権利主張をしっかりしてくる』

この言葉に危機感を抱くということは、すなわち今の利用者は権利主張をあまりしない存在、世代、と認識していることになります。
つまり、今の利用者は要望や求めをあまりしてこない、耐え忍ぶ世代だが、団塊の世代は自分の要望をしっかり主張してきて厄介だ、という裏があるということです。

ナンセンス極まりない。しっかりと主張をされるのであれば、それは自立支援の第一歩、自己選択、自己決定が今の時代の利用者よりもできる、と捉えることができるし、何よりそれは我々介護職が実現を目指す価値を引き寄せる要因ではないでしょうか。

逆に言えば、耐え忍び、自らの要望を積極的に主張してこない現在の利用者さんは、それだけニーズや課題を明らかにすることが難しいということではないでしょうか。
専門職のおっしゃるまま、やっていただくことにただただ感謝、文句があっても介護なんて大変なことをやっていただいているのだから、と口をつぐむ世代のニーズを明らかにすることは難しくないでしょうか。
クレームが来れば改善可能性が開けますが、口をつぐむ世代への介護では、改善の振り返りもおろそかになりがちです。


この言葉に危機感を抱くことは、利用者のニーズが本人らの主張と、専門職の見地と擦り合わせて合意形成していくという、本来あるべき専門性を否定するものだと言えます。


どんな世代だろうが、どんな身分だろうが、専門職である我々の前にいらっしゃる方に対する介護は、本質的に変わるはずがないのです。
世代が変わる、しかも“権利主張をする”という違いに危機感を抱くならば、それは現在の自分たちの仕事を軽視しているということです。



A『これからの時代は、今までのような介護ではニーズに応えられない』

この言葉のあとには「集団レクなど、みんなでちーちーぱっぱ、十把一絡げでは選ばれなくなる。多様なニーズに応える介護サービスを提供していかなければ生き残れない」というニュアンスの言葉が続きます。
団塊の世代だから、これからは通用しないではなく、今すぐに選ばれるサービスをしなければならないのに、課題を先送りしているような気がします。
これも@とおなじように現在の利用者への仕事を軽視しているということです。


冒頭の@Aのような言葉は、団塊の世代に対して今より質の高い介護をしていかなければならないという、一見もっともらしい言葉に聞こえますが、実は現在行われている利用者への介護を軽視し、世代を口実に、今現在から深めるべき専門性を深めていないことの現れなのです。
この言葉が広がり、よく耳にするようになりますが、この言葉の表面的な意味を受け取って、漠然とした将来への危機感にするのではなく、今現在怠っている介護の専門性を見直して、今目の前にいる利用者に最善の介護を提供すべきなのです。




さて、では団塊の世代が主な利用者になる時代は、(財政などの課題は触れないとすると)現場介護においてなにが本質的に危機感を抱くべき課題となってくるのでしょうか。


@から考えてみると、現在の利用者においては、言葉にならない声をしっかりと拾い出し、ニーズに結びつけていく力が求められるということです。
今後の利用者になる世代が本当に権利主張がとても強い方だとしたら、そしてきっと今の利用者よりも情報も知識も豊富な方々だとしたら、利用者本人らが感じているフェルトニーズに対し、『専門的見解(ノーマティブニーズ)』を如何に相手方に説明しすり合わせをしていけるかという力が求められるということです。
また、プロの専門職としてサービスを買う意識が高い方々が増えるとしたら、情緒的な支援ももちろんですが、手段的な支援を迅速に提案できる力が求められると思います。

これは、現在の利用者とて同じことですが、情報と知識を持ち、ある程度自分たちの要求を主張できる人が相手だとすると、これらのことがより研鑽される必要があると思います。



Aについてですが、ところで、私はこの言葉は、もともと介護業界から生まれた言葉ではないと考えています。
他のサービス業など、他業界において抱かれている危機感が、そのまま介護業界に引用されている気がするのです。

「これからのお客様は多様な価値観をお持ちの世代なので、これまで以上のサービスをご提供しなければならない」というようなものです。


確かに、業界によっては、多様な価値観の中で生きてきた団塊の世代に提供するサービスやモノがこれまでのようなものでは売れない時代になるかもしれません。


この点について、介護をサービス業と捉えるか、医療福祉と捉えるかで見解が分かれると思います。

前述しているように、Aは他業界からの引用であり、介護はサービス業であるという立場を取るならば、この『これからの新しい介護ニーズに応える』ということは、市場ニーズや経営が継続できるための“商品開発”を意味していると思います。
これは市場ニーズに対応しやすい業務形態であるデイサービスを中心にした考え方です。
この意味では、介護の新しいニーズ、すなわち利益が得られる顧客層をターゲットにした介護サービスを多様に開発していくということ、または、市場で受け手がない利用者の受け皿を作るという二つのパターンで広がると思います。

医療福祉の立場を取るならば、こうした市場ニーズの受け手がない受け皿を開発したり、地域の開発が求められるでしょう。また、専門職としての質を深めることも求められるでしょう。




団塊の世代が後期高齢者になる2025年を前に、周囲で聞かれる、危機感は、実は現時点での課題を軽視するものであり、本質的な危機感を呈した言葉ではないということ。
本質的な危機感を抱くならば、今以上にフェルトニーズとノーマティブニーズのすり合わせをしていく力、市場ニーズに応じた商品開発や、専門性の深化、地域開発などが早急の課題だということ。

周囲で聞かれる言葉の真意を考えてみました。


財源論などはまた別に2025年を前に大変な課題であることはまた別で論じられなければなりませんね。
なんだか尻切れトンボな内容でごめんなさい。。。
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個人的な見解です。非常にネガティブな想像をしてみますと・・・

下記のとおり現状でさえ介護人材は不足しており、それに対し何の策も売っていませんので、将来的にはもっと不足してゆくと思います。
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=80230

一方で下記に書いたとおり国内の人材はおろか海外の人材もうまく日本社会が受け入れることはできないと思われます。
http://synodos.jp/welfare/2342

ゆえに個人的には団塊世代の介護はとても「残念」なものになっているのではないかと思っています。(例えば、入浴や排せつなどは自動洗浄機などでヒトはモノのように扱われ、機械作業と化しているなど)

ですから、今(もしくは、少し前)の高齢者が一番、よいケアを享受できている。これ以後は比例的に低下していくのではないかと。

そして、それは団塊の世代の多くが、この問題を自らの問題としてとらえていない。そこにあると思っています。

問題意識がある方は、現時点からもっと現場従事者の待遇改善など、現場をよりよくすることに声を挙げるはずです。

食、教育などと同様に即座に結果の出る問題ではなく、長い時間をかけてじわりと効いてくる問題なので当事者(団塊世代)の本質が問われる問題かと思います。
Posted by ソーシャルケアほんま at 2013年06月27日 22:16
ソーシャルケアほんまさんコメントありがとうございます。

団塊の世代よりも下の私たちの年代ではどうなってしまうのでしょうね。

>問題意識がある方は、現時点からもっと現場従事者の待遇改善など、現場をよりよくすることに声を挙げるはずです。

ここに、この記事で言うところの本当の『権利主張』があるのかもしれませんね。
しかし、団塊の世代が当事者になってからでは遅い。。。

だから、代弁機能が機能する必要がある。

鶏が先か、卵が先か・・・
Posted by kinsan at 2013年07月02日 16:48
ちょっと、落ち着いて書いてみました。
http://kaigosien.blogspot.jp/2013/07/blog-post_4.html
Posted by ソーシャルケアほんま at 2013年07月04日 21:41
ソーシャルケアほんまさんリンクありがとうございます。

いつも少し俯瞰した視点でのご示唆をありがとうございます。悲観的にならなくても、、、と思う反面、そうした楽観視に警鐘を鳴らしてくださっているものと受け止めております。
しかし、実際にそれらに対して何をどうしたらよいのか・・・手段が分からずにいる今日この頃。また意見交換できる日を楽しみにしております。
Posted by kinsan at 2013年07月06日 12:17
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