介護の仕事のやりがいや魅力の発信と齟齬

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介護の仕事のやりがいや魅力の発信と齟齬

2013年9月24日


介護の仕事のやりがいや魅力について考えるときに、いつも私が参考にしているものがあります。

『ケアの心理学』(渡辺俊之)の『ケアがケアラーにもたらすもの』です。

@自己感覚の拡大・・・自分ひとりの人生体験に限界があるが、ケア対象者との出会いによってそれが広がるということ。
A現実検討能力の向上・・・生活を送り、生きることを現実的・具体的に実現するための力が得られるということ。
B深い情緒的交流・・・生死等を含めた関係性の中で普段体験できないような交流があるということ。
C自己把握の能力・・・自分の能力と限界を突きつけられるためにこの力が育つということ。
D感情の受容とコントロール・・・処理の難しい場面を繰り返すことでこれが身につくということ。
E人生哲学の獲得・・・多様な生き様に触れる中で尋常ではない世界を知り、これが刺激されるということ。

介護ではなく、ケアなので、これらは対人援助に関わる全ての職種に当てはまるものだと思います。
しかし、介護は他の対人援助職よりも対象者の日常生活支援という仕事を行うので、この@〜Eを得ることがより多いと思います。
介護現場の方が色々と介護の魅力を語っていますが、多くはこの@〜Eに集約されていくものではないでしょうか。
こうしたことを『介護のやりがいや魅力』としましょう。

また、最近では、介護そのものではなく、成長産業であること、予算達成、新規利用者獲得、事業の拡大、新規事業開発、人材育成の結果など、マネジメントや産業としての仕事のやりがいを挙げる方も増えてきたのではないでしょうか。
私も以前は毎月報告される同期との営業所成績を気にしたり、予算達成率を気にして一喜一憂していた頃があります。
こうしたやりがいや魅力を『自己実現的やりがいや魅力』としましょう。



「介護の仕事のやりがいや魅力はなんですか?」

という質問をよく頂きます。
これは介護が成長産業であり、かつ現在未来ともに、慢性的な人材不足であるため、担い手の流入を促す必要があるからですね。
3Kイメージを払拭するためには新鮮で魅力的な現任者の声が必要なのでしょう。


ここで最近気になるのは「介護の仕事のやりがいや魅力」について、前者以上に後者の『自己実現的やりがいや魅力』の発信の方が強くなってきているのではないか、ということです。
私がこの仕事を始めた頃は、後者よりも前者の『介護のやりがいや魅力』に関する現場実践の発信の方が多かったように思います。

この変化は日本全体で介護の位置づけが成長産業として官民で位置づけられるようになったからでしょう。

しかし「介護の仕事のやりがいや魅力はなんですか?」という質問の一番の目的は、パイを競い合うチャレンジャーではなく、現場で利用者と向き合うプレイヤーに発信するためだと思います。

そうすると、魅力として伝えられているのは後者が多いのに、実際に業界に労働者として飛び込む場合は、プレイヤーとして始まることが多いわけです。

私は、今こうしたねじれが生じつつあるように感じています。
(断っておきますが、私は自己実現的やりがいや魅力の発信やチャレンジャーの参加を否定しているわけではありません)



また、前者の魅力発信についてもBの『深い情緒的交流』に大きなウエイトを置いて発信されているように思います。
こうしたねじれや偏った魅力発信で一番の弊害になることは、十分な教育研修体制が整っていないと、現場に飛び込んだプレイヤーが上記@〜Eの『介護のやりがいや魅力』に逆に潰されてしまうということです。

@〜Eは『介護のやりがいや魅力』とこの記事では読んでいますが、参考元をみると『ケアがケアラー(ケアする介護職など)にもたらすもの』とありますので、それが魅力になるか重いプレッシャーになるかは表裏一体です。

実際、深い情緒的交流の先で激しい喜怒哀楽という感情の受容やコントロールがうまくいかず、自分の能力や現実の限界によってバーンアウトしてしまう介護職は多いです。

介護はおもてなしのサービス業ではなく、対人援助職であるので、人を援助するということの意味や現実をしっかりと身に付け、またフォローアップしていかないと、潰れてしまいます。

看護や心理職等、先行する対人援助職はそうしたストレスマネジメントに関する研究も進んでいると思うので、人を援助する中でケアラーが受けるストレスやプレッシャーに対する教育やフォローアップ体制が介護職よりも進んでいます。


現在見回してみると、こうした現場介護職のストレスマネジメントに関しては、初任者研修や実務者研修、介護福祉士養成課程などで十分に教育されているとは言い難いです。
また、事業所内においてこうした対人援助職としてのストレスマネジメントやフォローアップ体制も未整備なところが多く、一部の先駆的な事業所が取り組んでいる程度ではないでしょうか。

そして、こうした介護職のストレスマネジメントは事業所外において半ばアウトソーシング化しているようにも思います。
それは悪いことではありませんが、実際に同じ利用者、家族を知る事業所内でそれが行われることが最も効果的であるはずです。


介護業界の魅力発信と人材の流入はおおいに望むところです。
しかし、その発信と、現実、そして現場のフォローアップ体制が一貫していない現段階では、無用な現場プレイヤーの疲弊を生じかねない状況である気がします。
現実に向き合う中で、介護職に与えられる言葉は「寄り添う、尊厳、利用者主体」など。
この魅力の裏側を突きつけられながら、ストレスをフォローされない対人援助職は、介護職くらいではないでしょうか。


こうした課題にしっかりと光が当てられないまま、きらびやかで情緒的な魅力だけが独り歩きしてしまっては、人材定着と、本当の意味での介護の魅力を味わうことはできないのではないかと思います。


※真の対人援助職ではなく、単なる接客としての人材を欲する事業所であれば、この記事は無用ですが。
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この記事へのコメント
転職した2年前に私が期待していた事、そして最近ボディブローのようにジワジワと苦悶する現実が、すべてここに書いてあり驚いています。
「こんな事がまかり通る業界なのか」とガッカリもしヤル気も失せてきた頃です。
こんな考えを持ってくれている方が居るんだ!
励まされます︎
Posted by aroma9533 at 2013年09月27日 11:30
aroma9533さん、コメントありがとうございます!
私も現実は色々と見てきたつもりです。思い描く理想とは程遠い現実、それをやっている自分。
それでも理想に向かって頑張りたいと思っております。お互い頑張りましょう!
Posted by kinsan at 2013年09月29日 06:47
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