介護における自立(介護福祉士の教科書を読む1)

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介護における自立(介護福祉士の教科書を読む1)

2014年3月4日


介護福祉士の教科書を読んで一から勉強しなおすシリーズ。
テーマは『介護における自立』

新・介護福祉士養成講座1 人間の理解 第2版 介護福祉士養成講座編集委員会 (中央法規)
第1章 人間の尊厳と自立 第1節 人間の尊厳と自立の意義 p2〜11参照



介護の教科書に書かれている『介護における自立』とは何かを読み解いてみました。
『○』は教科書の内容です。
『→』は私の解釈です。


<対象>
○自立には多様な意味があるが、まず介護における自立の対象となるのは老化、障害、疾病などによって日常生活に支障を生じている高齢者、障害者、障害児である。
→つまり、老化、障害、疾病などによる生活支障が全くない、例えば貧困や差別、DVや失業などによる生活支障を持つ人たちは介護の対象ではないということになります。

<二つの意味>
○自立には二つの意味が含まれている。一つは『主体的な意志による生活設計』もうひとつは『生活支障を改善する手段』である。
→前者は利用者本人の自由な意志によって自分の生活がコントロールできていること、生活や人生の主体者になっているということです。つまり、身体的・経済的に自立しており独力で身の回りのことができるようにすることではないということです。
→後者は、利用者本人が生活支障を改善、克服していくために、機能訓練をしたり、日常生活を介護職に支援してもらったり、住宅改修をするなどの具体的な手段を講じていることそのものが自立ということです。
○この二つの意味が統合されるのがこれからの介護における自立の意味である。

<自立と自律>
○自律とは利用者の自由な意思活動のことである。また、自律は自立の前提条件である。
○自律は、老化、病、障害などによる生活支障を乗り越えて未来に向かって生きようとする中で獲得することである。
→自律はとくに人間の精神性の部分のことです。「たとえ生活支障を抱えても自分らしく生きていこう」という精神の自律(何者にも支配されない自由な意思)があってこそ、具体的に自立した生活を営んでいこうとするのです。

<自立と自律の関係性>
○自立と自律は不可分である。
○『精神的自立と具体的な生活自立は、利用者の人格的態度によって統合されるので、本来、不可分一体のものです。両者の統合は、利用者の全人的な意思や態度によるのです。それを便宜上、生活支援の視点から分けて論じたにすぎません(p11)』

<尊厳と自立の関連性>
○尊厳とは目指すべき理念価値であり、この理念価値へ向かうプロセス・生活設計を立てていく道筋が自立である。
→尊厳は目標やあるべき理想、目指す姿で介護に限らず憲法にもある人類が共有する価値という意味です。これを目指すことの一つに「自立」があるということです。つまり、自立をしようとすることや自立を支援するプロセスは人類が目指す尊厳に続くということです。



介護において自立という概念はとても大切なものですが、とても漠然としています。一時期は身体的自立に傾倒していたことや、意思表出が困難な状態の利用者の自立を考えるという反動もあってか「自立より自律」という表現を聞くこともありました。
しかし、教科書を読み解いてみると、介護における自立とは何を指し、何を目指しているかということがしっかり書かれているように思いました。

教科書の内容を踏まえて、教科書に「介護における自立」がなんと書かれているかをまとめてみます。

『介護における自立とは、老化、障害、疾病などによって生活支障を抱えている人が、その生活支障を抱えていることによる心身の不自由を、支援者や社会資源の力を借りながら受け入れ、具体的に生活を組み立てていくプロセスです』

こういうことは事例をもとにしていくとわかりやすく解釈できると思います。


以前書いた利用者さんの記事をご覧下さい。『生命への畏敬とその人らしさ』


末期ガンによって受けた心身の不自由、理不尽な運命を前にYさんはうちひしがれていました。(老化、病、障害による生活支障による心身の不自由)
しかし、私たち介護職やご家族、他にも訪看や医療機関の力を借りながら、心身の不自由を受け入れることで精神的自律を獲得していきました。
そして、最期まで周囲の我々に生命の畏敬を感じさせるような生き様を見せてくださったのです。

このYさんの歩んだプロセスそのものが「介護における自立」なのです。

教科書に書かれている「介護における自立」はこうしたことを言い表しているのではないでしょうか。




余談をひとつ。

社会福祉における自立とは
@労働的、経済的自立
A精神的、文化的自立
B身体的、健康的自立
C社会関係的、人間関係的自立
D家政管理的、生活技術的自立
E政治的、契約的自立
(社会福祉入門 救済制度思想と哲学 大橋謙策 放送大学より)

「自立支援の理念とは、高齢者自身の自立に向けての主体的営為を社会的に支配すること」(長寿社会開発センター五訂 介護支援専門員実務研修テキストより)

社会福祉領域における自立と、介護における自立、ソーシャルワーカー(ケアマネジャー)における自立支援とケアワーカーによる自立支援は重複することはありますが、何が異なるのでしょう。
上記教科書を参照した介護における自立の概念だと、広範な内容になり、社会福祉における自立すべてを内包するほどの解釈ができてしまいます。

だから、自立の概念においては介護も社会福祉も同じで、実は、実際的な実務における『自立支援』の部分で両者の差が出てくるのではないかな?と教科書を読んでいて思いました。

というよりも、そもそも、この教科書に書いてある「介護における自立」という内容を見ると、別に介護独自の自立ということを表しているとは言い難いと思います。これでは広く対人援助に関わる他職種における自立と捉えることもできます。
ですから、「自立」とは介護独自のものではなく、尊厳と同じようにう、対人援助職が価値を置く理念ということができるのではないでしょうか。各専門職の独自性が問われてくるのは実際に自立に向けて前に進んでいくために必要な援助や支援の部分にあるように思います。
ということで、教科書のこの項においては「介護における自立」ではなく「対人援助職が共有する自立」としたほうが良いのではないかと、教科書に突っ込んでみます。

余談終わり。


介護福祉士の教科書を読むシリーズは細く長く続いていきます・・・
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