小規模多機能型居宅介護事業所に勤めて一年

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小規模多機能型居宅介護事業所に勤めて一年

2014年4月4日


小規模多機能型居宅介護事業所(以下:小規模)に転職して1年が経ちました。
約10年間、居宅介護サービスに従事してきた私が、小規模という未知の事業形態に飛び込みました。
今日は小規模について1年の節目として現時点での考えをまとめたいと思います。


転職する前の小規模に関する情報やイメージは下記の四つでした。

1.デイと訪問とショートが一体化したもの
2.居宅のケアマネから小規模のケアマネに変更しなければならないこと
3.月額包括払いである為必要に応じて柔軟にサービスが使える
4.赤字体質で経営が厳しい事業形態である

どれも表現として間違ってはいませんが、小規模の理念や目標からすると言葉足らずであると思います。

では、小規模とは何なのか、見ていきましょう。



小規模とは『現在の公的制度の中で認知症状をお持ちの方の在宅生活の限界点を高める可能性が最もある事業形態』だと考えます。

つまりミッションは『認知症状をお持ちの方の在宅生活の限界点を高めること』にあります。

そして、この小規模の機能が発揮されるための要素としては次の5つがあると考えます。

@適切な援助関係をつくるコミュニケーション
A介護職による迅速柔軟な介護過程の展開
B本人・家族の選択と心構え
C互助の再生と創造
D本来あるべきケアマネジメント

これらがうまく機能すると小規模のミッション達成に近づくことができ、小規模らしい介護の展開ができるものと考えます。


ひとつずつ見ていきます。


@適切な援助関係をつくる基本

これは、小規模に限らずどんな介護事業形態でも必要とされる基本です。
ですから、小規模も例外なくこれが大切だということです。

「小規模は通いも訪問も泊まりも同じ顔なじみのスタッフ」とよく言われますが、いつも同じ人だから良いわけではありません。
いつも見る顔の人が嫌な人であっては意味がないのです。親しき仲の礼儀を失する人であっては最悪なわけです。
顔なじみ≒いつも同じ人≒いつもと違う人が入り込みにくい≒閉鎖的≒囲い込み。という構図にならないように律することが必要です。

ですから、単なる顔なじみではなく、認知症状が進行しても利用者さんが快の感情を抱ける援助者であり続けるためのコミュニケーションや基本事項をおさえて、適切な援助関係をきずけることが大切です。


A介護職による迅速柔軟な介護過程の展開

私は訪問介護、通所介護などの居宅サービスに従事していましたが、利用者さんの心身の変化やニーズに対してできる対応やとれる行動、提供可能なサービスには制限があります。
また、ケアプランに基づいた個別援助計画と大きく隔たりがあったり、違うことについては、アセスメントとニーズに基づいても、その場ですぐに対応するということが難しいです。

ヘルパーで言えばまずサ責に報告し、サ責がケアマネに連絡し、カンファレンスが持たれるなどして、プラン変更が行われてサ責からヘルパーに伝達するというタイムラグがあります。
デイの送り出しの訪問に入ったが、本人が拒否して行けなくなったとき、その日一日独居になり安否確認や食事、服薬などの対応をすることをすぐに行うことができなかったりします。
他にも、訪問をしている時に、利用者さんを近所の友人が訪ねてきて一緒に出掛けたいとなると、訪問を時間短縮で終わらせるか、訪問時間が終わるまで行動に移せない等です。

こうした、介護職が決められた枠の中でしか動けない居宅サービスに比べて、小規模の介護職は、自分の五感で見聞きした利用者さんの今に対してより良い援助になることを思考して、利用者さんと一緒に迅速柔軟な行動を展開していく可能性が高いのです。
逆に言えば、小規模の介護職は介護過程展開の専門性が高ければ高いほど、より自在な利用者本位のサービスを行うことができるのです。

こうした特徴は、記憶障害を大きな特徴とする認知症状をお持ちの方に対するケアの展開方法としてはより適していると思われます。


B本人・家族の選択と心構え

これは、地域包括ケアシステム成立における前提条件の一つとして挙げられているものです。
いくら小規模の機能や特徴が認知症状をお持ちの方の生活支援に適したものであっても、本人や特にご家族が在宅での生活継続の選択と心構えがなければ成り立たないということです。

特に日中独居や独居の方では、24時間のうちどうしても空白の時間ができてしまいます。
空白時間をつくらないように、できるだけ宿泊サービスを利用することも可能です。
小規模の機能として利用者さんの利用状況をジャッジする運営推進会議を経れば、利用者さんを長期的に宿泊させることがあります。
しかし、それは物理的にもすべての利用者さんが利用できるものではありません。
また、それでは在宅生活ではなく、半施設生活になってしまいます。

ですから、認知症状を持ちながら在宅生活を送るということが、どういうことであり、予測されるリスク、その対応、そのリスクを受け入れる覚悟、落としどころとなる共通目標などを、密に本人、家族と分かち合わなければなりません。
それは、ケアマネでも、顔なじみの介護職でもよいのですが、そうした、在宅生活を継続することを本人、家族もチームとして巻き込んでいくことが大事です。


C互助の再生と創造

いくら小規模でも24時間365日の安全を保障することは不可能です。それは施設でもそうですから、在宅生活は更にです。
そうした中で、私たちは、私たちがサービスを提供できない時間の生活をどのように保障できるかの行動が問われるのです。

本人の睡眠時間、自分で自分のことができたり、家族の手がある自助の時間、サービスを利用している共助の時間。これ以外のところが空白になるのです。
ですから私たちは近隣住民やご本人と縁がある地域のお店や人を掘り起し、本人をゆるやかに見守る、または世話を焼いてくれる社会資源ネットワークとして結びつけることが必要なのです。
もちろん、小規模に登録されている利用者さん、そのご家族同士を結び付け、そこでも小規模という社会資源を共有して使うという意識を根付かせることも一つの互助の創造です。

小規模が月額の包括払いであるということは、私たちがサービスを提供していない、訪問も通いも宿泊も利用していない間に利用料金が発生しているということです。
この時間の生活の保障を行うためにも、できうる互助機能を本人の生活に基づいて再生していくことが大事なのです。


D本来あるべきケアマネジメント

こうした要素をいかんなく発揮し、活用し、結び付けて、トータルに展開していくことが、小規模におけるケアマネジメント機能です。
同一事業所のケアマネが迅速柔軟に動ける介護職と一緒であることは、やはり利用者さんの状態やニーズに即応するタイムラグが少なく効率的です。
そして、ケアマネジメントとは、本来こうしたものであるべきだと思います。
しかし、居宅サービスにおいては、特にCにおいて、回数単価で行われる居宅介護サービスでは報酬が発生しない部分になりますので、進んで構築していこうとするインセンティブが小さいです。
社会資源の開発などもケアマネジメントの延長として存在しますが、なかなか難しい制度の枠組みがあるように思います。

その点、小規模におけるケアマネジメントは、本人の生活を包括的に支えるための様々な社会資源を掘り起こしネットワーキングしていく使命があるので、こうした本来のケアマネジメント機能を発揮する必要性が出てくるのです。


以上5点において、これらの要素がうまく機能しているとき、小規模の力がいかんなく発揮され、小規模のミッションを既存制度内で最も可能性高く達成することができると思います。


ただし、小規模も完璧ではありません。
特に「サービス使いたい放題」といった誤った認識は特にケアマネジャーは改めなければなりません。

居宅サービスで支給限度額一杯にサービス利用されていた方が同じかそれ以上のサービスを小規模にそのまま期待することはなかなか難しいことがあります。

また、柔軟な機能という性質上、25名登録の中でお互い譲り合っていただくことや、助け合いをお願いすることもあり、サービス内容や提供方法、時間などが変則的になることを利用者さん側に求めることもあります。
スケジュールがきちっと決まっていることを望まれる方などには逆に向いていないサービスかもしれません。

赤字経営というのは、しっかり利用者さんが定員近くいらっしゃれば問題はないようです。


以上、現時点での私の小規模への理解についてかなりざっくりとしたまとめになりますが、書置きしておきます。

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Category コラム

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この記事へのコメント
おひさです。

僕は小規模は施設、通所、訪問介護を経験した一定のスキルを持ったものが、初めてまともに提供できうる形態だと思ってます。

そして、柔軟なサービス形態は「一定の型」を崩すことからバリエーションを広げ、柔軟になっていくのが一般的であるため、最初はやはり教科書通りに通所から入り、たまに入所、そして馴染んできた所で訪問を増やしていく、といのが王道スタイルだと思います。

そうした王道パターンがあって、あとは個別に崩していくことが、柔軟性になるのかなと。

ですから、わざわざ、小規模という指定形態を設けるのではなく、既存の訪問介護や通所介護の指定基準をいじくって、それらが小規模に進化したり、定期巡回随時対応訪問に進化するようにするべきだったと思っています。

Posted by ソーシャルケア本間 at 2014年04月05日 15:56
ソーシャルケア本間さん、コメントありがとうございました。

結果論だと思いますが、本間さんの王道には二つの困難さが伴うと思います。

一つは、一定の多事業を経験したのち、型を崩す柔軟性が発揮される、ということですが、そもそも、そんなに経験を積んだ者たち=ベテランを揃えて配置することはコスト的に不可能でしょう。在宅と施設の両経験を積んだ人は今の介護業界、特に若い世代は少ないものと思われます。
なので、どうしても型が出来ていない段階、もしくは初心者を雇用することが多くなってしまうと思われます。

もう一つは、訪問や通所をより良いサービスとして基準をいじっていく、という本来あるべき現場から声をあげていく制度設計は、残念ながら制度の既定路線を覆すまでにはいたらず、なされるがままに流れていってしまいましたね。

将来的には、地域密着型サービスだけでほぼほぼ介護保険の居宅サービスはまとめあげてしまいそうですね。
Posted by kinsan at 2014年04月06日 20:50
コメントありがとうございました〜。
Posted by ほんま at 2014年04月07日 23:03
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