介護予防・日常生活支援総合事業と介護福祉の専門性

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介護予防・日常生活支援総合事業と介護福祉の専門性

2014年6月18日


平成29年4月までに訪問介護と通所介護の予防給付が地域支援事業の介護予防・日常生活支援総合事業へ全面移行されるということになり、色々と話題になっています。

縁あって、この辺のことを調べておりましたが、そうする中で「そもそも介護職が行う専門的な“介護予防”とは何か?」「介護職の介護予防における専門性とは何か?」ということを考えるようになりました。


さて、“介護予防”や“予防給付”と色々言葉があるわけですが、混乱しそうなので整理します。

介護保険制度は2006年度の改正によって
@介護予防事業
A予防給付
B介護給付
の3つのサービス体系になりました。

介護予防事業は地域支援事業の一つです。
簡単に言ってしまえば、要支援・要介護予備軍の方(二次予防事業)や高齢者全般(一時予防事業)の方が要支援や要介護状態にならないような各種サービスを提供するものです。


予防給付は要支援1・2の方に対するサービスです。冒頭の話題にある、介護予防・日常生活支援総合事業へ移行される予防訪問介護と予防通所介護はここの分類のサービスです。


介護給付は要介護1〜5の方に対するサービスですね。


この@Aはどちらも要介護状態に悪化することを予防し、少しでも高齢者が自立した日常生活を送ることができるよう支援することを目的としているものです。
(本記事ではこうしたことを目的として展開されるものを総じて「介護予防」と書く事にします。)

ただ、実際はあまり効果が見られなかったり、サービスの内容が充実していないなどの理由から、2012年度に@Aを総合的に提供する事業として「介護予防・日常生活支援総合事業」が始まったわけです。


そして、さらに持続可能な介護保険制度、地域包括ケアシステム構築の流れの中から、予防給付のうちの大半を占めている予防訪問介護と予防通所介護事業が見直されることになりました。

ざっくり言ってしまうと、予防給付の事業は、その人が要介護状態に悪化することを予防することを目的としています。
しかし、予防訪問介護は家事援助を中心として利用者さんのできることを奪ってしまい、かえって生活不活発病を助長している。予防通所介護は単なる預かり型サービスになっていて本来の目的に即していない。各種加算(栄養、口腔ケア等)への取り組みも不十分。
などの理由から、各自治体がそれぞれ地域の実情に応じて行う(平成29年4月以降に全面開始される)「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」の中でやってくださいね。ということになるわけです。


予防と一言でいっても色々と複雑ですね。
そして、私は自分が関わる要支援の方への訪問介護や通所介護の中で“介護予防”という言葉をそんなに意識していなかったことに気づきました。
もっと言ってしまうと、本来の“介護予防”という意義を充分踏まえたサービスをプロとして提供していなかったと思います。
今日の記事のメインテーマはここです。



つまり、要介護高齢者がどんどん増えてくるこれからの時代において“介護予防”という概念とケアが求められてきたにもかかわらず、介護職は十分に“介護予防”という取り組みをしてこなかったのではないか?ということです。
冒頭の「介護職が行う専門的な“介護予防”とは何か?」ということです。


介護職は制度の改正に伴って出てきた“介護予防”の歴史的意義などを意識せずに、ただ単にその場しのぎで介護予防を“こなしていた”のではないでしょうか。
私たち介護職が“介護予防”を意識せよと社会的に求められだしたのは、2006年度の法改正以降です。
私自身、予防介護というものの意義も実践方法も教わった記憶がありません。

当時、訪問介護の仲間、上司、同業他社の中で交わされていた言葉は
「この方は予防だから、一緒にやらなきゃダメですよ」
「ヘルパー頼んでるのになんでやらなきゃいけないんだ!っていう利用者さんは、とりあえず何か本人が関わった感じにしておけばいいよ」
「本人がやりたくないっていうから、結局全部ヘルパーがやりますよね」
「本人が一緒に行かない買い物だと予防にならないからダメです」

通所介護では
「予防だから休んでも別に売上は変わらないよ」
「要支援2の人でデイ休みがちの人のほうが週1利用の要介護1の人より客単価がいいよね」
「支援の人だからベッド使えないからね。区分変更して要介護出してもらおうよ」
「支援の人ほど口の中とか見せたがらないから、口腔ケア加算とか事務量の割に合わないよね」

介護現場が、介護予防を全く履き違えていたわけです。私も。
本来の介護予防を展開するというインセンティブが働かない制度にも問題があると思いますが。
少し古いですが、日本介護福祉士会の「介護福祉士の就労実態と専門性の意識に関する調査報告書(2009年)」においても「専門性が活かされていると考えられる業務」の回答に“介護予防”がないことからも、介護職の介護予防に対する意識の低さが見えます。


このような介護予防に対する介護事業者、介護職の低い意識。
そして、今回の新しい介護予防・日常生活支援総合事業では、訪問型サービスや通所型サービス(現在の予防訪問介護・予防通所介護が移行した後の名称)にボランティアやNPOなどの多様な実施主体の参入が見込まれています。
そうすると、さらに介護職によるプロフェッショナルとしての介護予防はどうなるのでしょうか?
ボランティア(≒非専門職)と同じ事業を同じ立場で行えるようになる中で、介護職が介護事業所として提供する介護予防に専門性はあるのでしょうか?その専門性を生み出していこうとする力が働くでしょうか?

また、そもそも、こうした介護予防というのは介護職の専門性なのでしょうか。

機能訓練や口腔ケアアセスメント、認知症予防など、介護予防には保健師、看護師、PT、OT、ST、管理栄養士、機能訓練推進員、運動推進員、さらには民間のITを活用した認知症予防プログラム、老人センターでのふれあい企画、コミュニティによる予防に対する自助・互助、シニアの就労、まちづくりなど、多様な主体による取り組みが考えられます。

こうした中で、介護職独自の介護予防の専門性がありうるのでしょうか。


そして、介護予防について考える中で、私が特に気になったのは「介護予防と自立支援」についてです。
介護予防とは、介護保険法によれば「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと、さらには軽減を目指すこと」とあります。
しかし、ここまで見てきた中で、介護予防は介護職が独自の専門性に対する対価として保険給付をもらえる程ではないという社会的決断が下されてしまいました。

ただ、本来、こうした介護予防の定義から見える理念は、介護職の最上位理念の一つである“自立支援”に内包されているものではないでしょうか。
介護予防事業の対象者は別としても、予防給付の対象者に対しては、私たちは本来その人のできること、できないこと、やっていないこと、環境などをアセスメントして、その人が有する力を使って自立した日常生活をおくれるように支援することを求められていたはずです。

それが、2006年度に“介護予防”という新しいジャンルが登場したことにより、本来やるべきことが要支援の方と要介護の方で制度上二分され、どちらにも行うべき自立支援が行われず、先に上げた同僚や同業他社と交わすような認識になってしまっていたのだと思います。


結果、私たちは“介護予防”という介護福祉の専門性の一分野からの撤退を社会から言い渡されたのではないかと私は思います。

本来の自立支援を徹底していたらこうはならなかった。もちろん、それが徹底されない、インセンティブが働かない介護保険制度のあり方にも原因はありますが。

介護予防というものによって自立支援の理念を自ら歪め、それに疑問も持たずに現場にいた自分を反省しています。
これからの、介護が重点化されていく原因の一旦は私たち自身にあるのかもしれません。


介護予防という介護の専門性は本来の自立支援という理念に内包されるものであり、実践の一分野であったはず。しかし、私たちはそれ自体を自分たちの手で歪め手放してしまったのかもしれません。
今更遅いですね。。。
本来の自立支援という理念を忘れずに今後の実践を重ねて行きたいと思います。

介護事業所、介護職による訪問型サービス、通所型サービスが、どんな介護予防実践を展開していくのか、期待と不安があります。

追記:ところで、障害者福祉における介護では介護予防という概念は小さいかもしれませんね。ここはもう少し勉強してみたいです。
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