介護現場で向きあう性

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介護現場で向きあう性

2014年7月15日

号泣議員のせいでメディアから消えてしまったセクハラヤジ問題。
こうしたメディアの話題をブログに書く事はあまり好きではないのですが、このセクハラヤジ問題に起因するコメントを目にする中で『介護現場で向き合う性』について考えが広がっていったので、今日はこのことを書いてみたいと思います。

介護現場で向き合う性、と一言で言っても、ご本人に対する性的虐待から高齢者や障害者本人の性の権利、その支援など様々です。
今日はその中で『介護職に突きつけられるセクシュアルハラスメント』を考えてみたいと思います。


冒頭のセクハラヤジ問題で、話題となったのは、ヤジを受けた女性議員側の経歴などに関することでした。
彼女のバラエティ番組その他での活動、発言等がクローズアップされ、セクハラヤジという言葉では済まされないこの性的虐待が、あろうことか女性議員側にも非があるような論調が世に出回ったのです。
呆れて空いた口がふさがりませんでしたが、世間では少なからずこうした性の問題に関して、女性側、とくに“スキを作る”というような表現で、女性への非を社会が認めているような風潮があるように感じます。

「言われても仕方がない」「言われるようなことをしてきている方が悪い」

実にくだらない。(こうしたことを逆手に取るような、冤罪を狙うような女性は、更に救いようがありませんが)

性に関する被害とは、その当人が不快や恐れ、傷ついたという主観によって成立すると私個人は考えています。
ですから、そうした主観に対して周囲の“評価”ともとれる論調はありえないことであり、日本社会の根強い病巣だと考えています。

ここの議論がしたいわけではないのでこの辺でこの話は終わりにします。



今日の本題は、こうした、性に関するトラブルにおいて、女性側に非を認めようとする日本の風潮が、介護現場でセクシュアルハラスメントを突きつけられた介護職の身にも起きているのではないか、ということです。


介護の仕事をしていると、利用者本人、またはその同居家族等からセクシュアルハラスメントを受けた、もしくは受けた同僚を知っている、という方は少なくないはずです。
特に認知症の方や、障害をお持ちで若い方、シングルで介護をしている同居家族の方などが介護職という外部の人間に、性的欲求を満たす対象として接してくることは少なからずあります。

介護現場において難しいことは、ご本人のそれがケアの対象となる範疇なのか、そうでないのかの境界が見極めにくいことがあります。
ケアの対象の範疇とするのであれば、どのようにそれに向き合うケアを展開していくのか、また、サービスに当たっていた介護職員をどのように守っていくのかということになります。
逆に、ケアの対象の範疇でないとすれば、セクシュアルハラスメント、犯罪の範囲として、ご本人らと向き合っていかなければなりませんし、ケアしていくという選択を断つことにもなりえます。

更に、それが支援の直接の対象であるご本人ではなく、同居家族等によるものであった場合、解決していくことはこれまた難しいものです。


私もこれまでこうした事例を見聞きしてきました。


初めての経験は、訪問入浴をしていた頃でした。
3人ひと組で行動する訪問入浴ですが、私が男として車に浴槽を積むなどする力仕事、看護師がご本人の健康チェックをしている間、女性介護職の同僚が利用者さんの息子さんにいつもつかまっており贈り物や卑猥な言葉をかけられていました。
また、別のお宅では、高齢女性のご本人が、独身の息子さんの結婚相手として、毎回しつこく特定の女性介護職に息子さんを勧めていました。

他には、ある女性介護職の先輩と飲んでいた時に打ち明けられた話です。
どうしても男性スタッフがいなかった時に、その女性の先輩がある男性利用者の入浴介助に入らなければならなかったことがあったそうです。
個浴という密室の環境下で、男性利用者はその先輩の腕を掴み、陰部を触らせて「頼む!お願いだから一回やらせてくれ!本当に1回だけでいいから」と懇願して迫ったそうです。
大声を上げることもできず、助けも呼べず、またそうすることで利用者さんとの関係性が崩れることを考えて、困ったと話してくれました。
結局はやや逃げるように浴室を出たそうです。先輩は上司にも誰にも相談できず、約2年間一人で黙っていたそうです。

また、ある認知症の男性利用者さんは毎回女性スタッフのお尻や陰部、胸などを触ろうとしていました。
要介護4で走れるほどのADLだったので、認知症の状態はWに近いくらい重度でした。
この利用者さんは女性スタッフほぼ全員に同じことをしていたのですが、ある女性介護職だけはとても悩んでいて、怖いという思いを持っているということを私に打ち明けてくれました。

また別の障害をお持ちの男性利用者さんのお宅に訪問介護に行っていた女性介護職は、長年訪問を重ねて、その方と良い関係性が築けているように思われていました。
しかし、ある時の訪問で、その利用者さんに後ろから抱きつかれ、胸などを触られ「結婚してくれ」とせがまれたと言いました。



こうしたケースは介護現場では珍しいことではありません。
他にも見聞きしていないものがたくさんあると思います。

こうしたケースにおいて、その後の当該女性介護職への周囲の言動や、女性介護職自身の言葉はある程度同じようなものが出てきているように感じています。
そしてこれが難しくも、冒頭の女性蔑視につながる問題をはらんでいると私は感じています。

《パターン1》
「あの人寂しいんだよ。お一人暮らしで、きっと人との関係や温もりを求めている中で出てきてしまったんだよね」
「母性を求めるようなそうした気持ちをどう他の面から支援できるか考えていきましょう」
(満たされていないケアの対象としての判断)→女性介護職への精神的ケアは意外に置き去り

《パターン2》
「あんまり気にしないで、サラッとかわすか、あしらえばいいんじゃない」
「冗談ぽく流しちゃうのが一番。マジメに関わるとかえって変だよ」
(そうした言動に対して、受け流すという判断)→あまり大きな問題にしたくないという事なかれ主義。ケアとしても取り組まず

《パターン3》
「嫌なものはイヤってはっきりいわなきゃ」
「エスカレートするから、こちらからちゃんとNOを言わないとダメだよ」
(一見正論)→それができないで困っている女性介護職に注文を付ける助言になっている


こうした女性介護職に対する周囲の反応は、意外にも女性介護職同士から投げかけられたりすることもあります。もちろん男性介護職からも。
つまり、困っている女性介護職に対して、同じ女性介護職が女性なら自分でちゃんと対処しなきゃ!的な発言をすることがあるのです。


私が打ち明けられた前述の女性介護職たちの傾向は下記のような共通点がありました。

・誰にも言えず悩んでいた
・利用者さんや同居家族との関係が壊れてしまうことを恐れていた
・自分がうまく対処できていない、と自分に責任を感じていた
・我慢すれば良いと思い込んでいるが、嫌で困っている、ということが一杯になって相談してきた

そして、実際問題、どのように感じているかを確認すると次のような言葉が帰ってきます

「怖かった」「嫌だった」「びっくりしてしまった」「どうしていいかわからなかった」


結局、女性介護職個人の問題であり、女性介護職が自分から取り組まなければならない問題。

このように周囲の人間が決め付けて、共通の課題として取り組む風潮が少ないように感じています。
ましてや、相手はケアを受ける側であり、安易に非を結び付けられない方であり、私たちはそれをケアする側であるというさらなるプレッシャーがあるように思います。

様々な要因が絡んでいますが、冒頭のセクハラヤジから見えてくる、日本の性へのタブー、被害を受けた女性側への非を探す風潮が根底にある気がしてなりません。

もちろん、ケアとして取り組むことがこうした被害につながることを未然に防ぐことにもなりますが、正面から取り組まない限り、やはり後手になり続けてしまう問題ではないかと思います。


余談ですが、私も中年の女性の利用者さんから、冗談交じりで陰部を鷲掴みされたことがあります。彼女は大笑いしてました。
女性介護職の被害とは比にならないとは思いますが、明らかに「不快」で「驚いた」ことは事実です。


いくところまでいくと、女性介護職が性犯罪の被害者になるまでの事件が全国では既に起きています。

こうした課題をどう捉えていくか。
まずは、女性側にも原因がある、というこのなんとも言い難い風潮から改めていく必要があるのではないでしょうか。
新しい介護人材を求め、若い方がどんどん入ってきてくれる魅力ある介護現場を作るには、無視できないことだと思います。


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