小規模多機能のイメージを居宅のケアマネさんに伝える

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小規模多機能のイメージを居宅のケアマネさんに伝える

2014年7月29日

先日、居宅のケアマネさんから開口一番「すみません、泊まり空いてませんか」というお問い合わせがありました。
相変わらず、小規模多機能型居宅介護(以下、小規模多機能)という事業形態の理解が広がっていないと感じました。
しかし、その要因の一端は私たち小規模多機能に従事している者による外部発信が十分でないことがあるのだと思いました。


今日は小規模多機能という事業形態の機能や目的等を居宅のケアマネさんに伝えるということを念頭に書いてみたいと思います。
今日は特に「通い」「訪問」「宿泊」の三本柱の利用に絞って考えてみたいと思います。

小規模多機能の大枠の機能や役割、それを可能にする要因については以前にも書きました。
『小規模多機能型居宅介護事業所に勤めて一年』
これを踏まえて、私がこれまでの小規模多機能現場の経験からイメージしやすい例をお伝えしたいと思います。


小規模多機能はカーシェアリングに近いイメージだと思います。
「カーシェアリング(英: carsharing)とは、一般に登録を行った会員間で特定の自動車を共同使用するサービスないしはシステムのこと。(Wikipediaより)」

つまり小規模多機能の持つ様々な機能を25名の利用者さんという会員たちがシェアし、在宅における自立した日常生活を送るという目的のために利用をする、というイメージです。

その使える機能の三本柱が、ユアハウス弥生で言えば、通いが15名/日、宿泊が5名/日、訪問が8時間分/日というのが一応決まっているキャパシティです。
もちろん、例外なしにこの範囲に収めなければいけないわけではなく、時と場合によって柔軟に対応します。


さて、25名の利用者さんがこのキャパシティのサービスをシェアするということですが、放っておくと「毎日通わせたい、毎日泊めて欲しい」というご家族が出てきたり「ずっと訪問に来て欲しい」という利用者さんが出てきてしまいます。
スタッフの質と量には限界がありますので、当然全てのデマンドを受け入れることはできません。

そこで必要になるのが、それぞれの利用者さんの状態•状況を見極めて、小規模多機能のキャパシティと利用者さん全員のニーズのバランスをとる必要があります。
このバランサーの中心にいるのが小規模多機能のケアマネです。


「小規模多機能って何をしてくれるの?」

「なんでもしてくれるよ」は間違いです。

小規模多機能の機能を25名の会員さんとシェアして、在宅生活を継続するために、ケアマネを中心としたスタッフと相談しながら必要な支援を提案してくれるよ。

というのが正しい理解だと思います。


25名の方々の状態•状況は違いますので、必要な時に必要な分の利用が可能なのです。

幅広さの例を出すと、直接的なサービスは週一回の通いだけということもありえますし、毎日宿泊もあるわけです。
会員さんの中で必要に応じてバランサーが機能しているのです。



サービス利用にあたって色々な具体例をあげてみますね。

○新規で独居のAさんは、大腿骨頸部骨折で入院手術後、リハビリを重ねて4ヶ月ぶりに退院することになりました。
しかし、在宅の生活では特に移動や夜間のトイレ、買い物や食事の支度に不安がありました。

こんなAさんにはまず一ヶ月〜三ヶ月の連泊が提案できます。
新規で退院直後ということもあり、スタッフもご本人を24時間体制で知ることができます。
ご本人も誰かがいる、という安心できる環境から、少しずつ小規模多機能の中で生活をする力を取り戻し、不安要素である買い物や調理の支援をどうするか考えることができます。
そして、自宅に日中帰ってみる、一晩帰ってみる、三日帰ってみるなどを移行期間として在宅生活へ戻るプロセスを踏みます。


○介護のお世話にはなりたくない!と言う男性で認知症をお持ちのBさん。いわゆるデイサービスへは行かない、という方です。

こんなBさんには訪問サービスを中心とした支援が提案できます。
訪問介護のようにサービス内容を厳格に決めなくても良いので、同居家族がいても、身体介護はまだ必要なくても訪問サービスを利用することができます。
特定のスタッフが訪問を重ねて、顔なじみの関係性を築き、家族が不在でも一緒に過ごせた、一緒に外へ出られた、外で半日スタッフと過ごして食事もできた、一緒に通院、買い物、馴染みの場所へ行けた、という段階を踏み、事業所へ通えた、顔馴染みのスタッフや利用者さんが増えた、少しずつ通える時間が伸びてきた、でも嫌ならすぐ帰れる。

徐々に関係性を構築し、ご本人の安心できる環境、楽しめる環境、生きたい場所として通いを中心として訪問を組み合わせていくことができます。


○デイサービスには行けるけど、夕方になると帰りたくなるため、ショートステイで暴れるのでショートステイ先に断られてしまった。家族のレスパイトが必要である、と居宅のケアマネさんから紹介されたというCさん。

通いにはすぐに馴染みますがやはり夕方には帰りたくなります。
どうしても帰りたければ帰れる環境を家族とも十分話し合っておき、帰れることを本人にも伝えます。
大変な状況にある家族と期間の合意をはかり、Bさんのように徐々に馴染めるようなアプローチを行い、夕食まで食べられた、20時までいられた、今日は19時で帰った、これを繰り返し、初めて泊まれた、連泊できた、などとご本人の選択と自由を保障してプランを進めていきます。

もちろん、この間ご家族負担を最小限にするために訪問や通いを多めに入れたりなどの対応もしたりします。


○通いは行かなくてもなんとか過ごせているよ、でも家の中で色々わからないことが増えてボヤ騒ぎや、悪徳商法、腐った食材など、生活課題があるDさん。

通いは本人が好きな時、気が向いた時に来て、楽しくマイペースに他の方と交流してご飯を食べて帰ります。あくまでも本人次第。
でも、毎日訪問します。
ご自宅での生活課題に一緒に取り組んでいき、出来ることはご自分で、少しの支援でできることは、環境への工夫を。時にゆっくり滞在してお茶を一緒に楽しんだり、他の利用者さんをDさん宅へお連れして一緒に過ごす。
最近は夕飯の準備が難しくなって来たので、夕方の訪問も増やします。


○独居のEさん。好きな時に来て好きな時に帰ります。休みたい時に休みます。
でも、台風が接近している日、ゲリラ豪雨の日、なんとなく寂しくて、変なこと、暗いことを考えてしまう日、夜中に電話が来たりします。

今から来られますか?お迎えは必要ですか?
夜中に通い、ご飯を一緒に食べて、空いていたら泊まりましょう。
必要なものを必要に応じて必要なだけ。キャパシティの限り、バランスを見ながら。


○週二回の通いのみだったFさん。自身の認知症状の進行、ご家族の介護負担の増大。
利用当初のサービス量に加えて、通いが増え、時間が延び、訪問も宿泊も増えます。
それでも、家族が出来ることは家族が、ご本人が出来ることはご本人が、隣近所、地域の方が助けてくれることは連携。
そうやって小規模多機能のキャパシティを会員さんの中でシェアするバランサーが機能します。


○長年利用してきて下さったGさんHさん。どちらもターミナル期に入りました。二人共Fさんのようにサービス利用の変遷がありました。そして。

Gさんは、自宅で最期を迎えるという決断。以前は歩いていて、お話もたくさんしてくださったGさんは、静かに寝たきりの状態になりました。
ご家族の目がある昼以外、朝夕毎日訪問、随時対応でした。

Hさんはご家族の介護力と状態の不安定さもあり、ユアハウスでの最期を選択。連泊して24時間の体制でスタッフや他の馴染みの利用者、家族の面会、医療連携を通じて、ユアハウスで息を引き取りました。


他にも色々な機能の使い方、プランのプロセスがあります。



宿泊はレスパイトや夜間帯における質の高いアセスメントを行う時間の確保、安心安全の力が一番強い機能。将棋で言えば飛車や角みたいなインパクトがありますね。

通いは、日常生活上の支援から、日常生活機能の回復、社会性の獲得、再構築から関係性作り、地域や繁華街、思い出の地への外出、社会参加。
アセスメント、レスパイとベースとなる機能を持ちます。金や銀みたいな安定性があります。

特徴的だと私が感じているのは、訪問サービスの柔軟性です。
訪問介護に従事していた私としては、決まった時間内に決まったサービスを行い、できないことが厳格に決まっている訪問介護に比べて、時間も長短自由に、目的も安否確認から身体介護からお茶飲みの関係づくり、しかも他の利用者さんを連れて行ったり、家族を巻き込んだり、訪問しながら、地域に食事や買い物へ行ったり、自宅から通い、自宅から外出様々です。
宿泊と通い、自宅と地域を結びつける、歩の役割から“と金”、香車、桂馬の動きまで多彩です。

訪問サービスの使い方次第で、小規模多機能のパフォーマンスは自在に変化していくだろうと感じています。



あくまでも、私が経験した中での小規模多機能の三本柱の機能「通い」「訪問」「宿泊」の機能と、利用者さんへ実際に提供したサービス例です。


特に認知症をお持ちの方が、住み慣れた自宅で、少しでも自立した日常生活を継続する、在宅介護の限界点を極力高めるという目的とそれを実現可能とするポテンシャルを持っているのが小規模多機能です。

カーシェアリングのイメージとバランサーの役割。
今日の記事では割愛してますが、地域の社会資源を利用者さんの在宅生活に結びつけたり、家族とのコンセンサス、家族同士の互助の構築、基本から応用までの認知症ケア、ケアマネジメント、地域性を活用すること、他職種との連携も大切な要素です。

ほんの一側面で私の個人的な見解でしたが、少しでも、小規模多機能の偏見と敷居が取り払われたら嬉しい限りです。
「こんなやり方ができるなら、居宅サービスでは限界がある方を紹介をしてみようかな」と居宅のケアマネさんが思って下さったら嬉しいです。
もちろん、初期の認知症状をお持ちの方で、中長期的に生活を考えるならば「小規模多機能もひとつの選択肢かもしれない」と思っていただけたらなお幸いです。

また、小規模多機能はどんどん進化していくものですので、全国の先駆的な実践事例や、事業所の活動を情報収集し、皆さんの地域の小規模多機能を知ってみてください。
私たちも、自分たちの地域性に応じた小規模多機能をさらに深めて、発信し続けたいと思います。
小規模多機能の実践者の皆さんは、是非ご自身の小規模多機能を教えてくださいませ♪
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Category コラム

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この記事へのコメント
小規模を含む介護施設の利用料は、介護度によって定まっているが、介護のサービスは個人ごとに異なる、どんなプランでも同一なのはおかしい、場合によっては居宅介護が適切と思うが、これは、ケアマネが判断するのか。
Posted by 樫岡貞次 at 2015年01月19日 10:44
樫岡貞次さん、コメントありがとうございました。

私の認識では、プランが同一であるということはありえないと思います。
居宅サービスが適切な場合も、施設介護がその人にとって適切な場合もあると思います。

しかし、それを決めるのはケアマネではなく、本人の意思、家族の想い、周囲の人たちの対話によって決められるべきだと思います。
Posted by kinsan at 2015年02月28日 20:14
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