認知症の診断名と小規模多機能

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認知症の診断名と小規模多機能

2014年12月15日


私たち介護職はご本人がお持ちの疾患や障害について理解し、それに伴う生活課題やリスクを考慮した支援を行います。

しかし、時に「本当にこの疾患なのかな?」と気づきを持つことがあります。
また最近では認知症の診断名に対しても気づきを持つことがあります。

内臓系の疾患はまだしも、認知症の診断名は私たち介護職でも疑って良いものだと考えています。何故なら進行するものが認知症であり、脳の器質的変化と症状は個人差があり、その変化と症状の表出への気づきはご本人と一番接点が多い私たち介護職であるはずだからです。
診断名の症状を念頭に置きながらその変化に気づける知識とアンテナを準備しておく必要があると思います。


さて、今日は小規模多機能型居宅介護事業所、ユアハウス弥生の認知症ケア実践について事例を挙げてみたいと思います。

Kさん女性。80代、要介護2、アルツハイマー型認知症と診断されていましたが通院ができず、息子さんがかかりつけ医に相談して薬の処方をされているという状態が契約前から数年続いていました。
ある頃から息子さんが「母は夜中に突然死んだ父がそこにいる、と言うんです。これって調べたんですが幻視なんじゃないかなと思うんです。他にも足の運びが悪い時があったりしてきっとレビー小体型認知症じゃないかと思うんです」

最近のご家族はネット含め、多方面から情報を得る力をお持ちなので、ご本人の状態や症状を特定の疾患に結びつけて合点されることがあります。

加えて「かかりつけ医の先生にも伝えたらおそらくレビーだろということでした。レビー小体型ってパーキンソン病の症状も出てくるからこれから自宅での転倒もあり得るだろうし、でも母は要介護2だから特養は無理だし、グループホームはどこも満室だっていうし、有料はうちはお金ないし、、、」

今のご家族はこのくらいの情報と知識0を自分で得ることができますし、近い将来の想像を膨らませることができます。そして、医師の何気ない「(レビー)かもしれない」「おそらく」「その可能性もある」という言葉を診断と早合点することも多いですね。

ご家族の焦燥感はわかりますが、私たちは良い意味で疑わなければなりません。
私たちはKさんの「死んだ夫がそこにいる」という言葉が幻視なのか幻覚なのか、妄想なのかせん妄なのか、また足の運びが悪いのがパーキンソンニズムなのかを確認しなければなりません。


さて、小規模多機能が優れている点は、こうした自宅での夜間、という限られた状況下でおきているご本人の状態について、事業所間のまたぎを無しに必要なアセスメントを行えるということです。
例えばヘルパーが息子さんからこの訴えを聞き、サ責に伝え、ケアマネに伝え、デイの事業所に確認し、ショートの事業所に確認し、次回のショートの時にどのような状態かを見てほしいと、伝えるというタイムラグが小規模多機能では最小限なのです。

最も良いのは夜間に訪問してご本人の状態を見させて頂くことですが、今回は宿泊を利用して頂くことにしました。

Kさんの宿泊中の記録を詳細に取らせていただき、夜間帯の動きやBPSDの状態をアセスメントすることが出来ました。
スタッフの記録から私たちが立てた仮説としては、幻視ではなく幻覚であり、足の運びはパーキンソンニズムというよりも、フラつきである。水分や睡眠、食事摂取や排泄には課題が無さそうなので、考えられることとしては、薬による副作用や家族の関わり方ではないか。
というものでした。

記録と私たちの仮説をかかりつけ医に相談し、薬の処方を一カ月かけて5mgずつ調整していった結果、ご本人の夜間のBPSDは激減しました。


疾患別の認知症の症状には代表的な特徴等があり、認知症関連のテキストにも載っています。
しかし、認知症は進行性の脳の疾患に起因する高次脳機能障害の症候群ですから、今その診断名があるからと言って必ず特徴的な状態が表れるとは限りません。
進行する間に、別の型の特長が出てくることも十分あり得ます。
ですから、診断名を軸としてケアを展開させることはもちろんですが、その人の症状や生活上の変化をご本人やご家族からしっかりと収集しなければならないのです。
小規模多機能の機能は使い分けることで、それを行うのに現状の制度の中では最も使いやすい事業だと言えると思います。

一般的にニーズが集中してしまう、小規模多機能の宿泊という機能ですが、しっかりとしたマネジメントをしないと機能不全に陥ります。
必要な利用者さんが必要な時に使えなかったり、ご家族の開放感が募ってしまい、施設入所が早まったり、逆に介護負担のピークを見逃したり。
機能は使い方次第ということです。

小規模多機能に勤め始めたばかりの頃、私はこの宿泊の機能に対する家族ニーズの高さに圧倒され、ご本人不在のまま宿泊を押し切られるというような失敗を経験しました。
今では少しはその辺りのマネジメントも分かるようになってきて、宿泊を利用して認知症をお持ちの方の在宅生活を支援する使い方が少しだけ見えてきたと思います。


さて、今もまた特徴的な疾患による認知症と診断された方と新規でご契約しました。
まだ1ヶ月あまりですが、その診断名の認知症ではないのではないかなと感じています。
ご家族からはCTやMRIの画像を見せて頂くと確かにその型通りの画像なのですが、目の前のご本人からはその症状が見られないのです。

余談ですが、私の父は、数年前脳梗塞になり、画像では左脳が真っ白になっていました。
転院先の病院へこの画像を持参したところ、応対したDrからは「この状態ではかなりのマヒが出ていますね。言語障害も少しあるでしょう。大変な状態ですね」と言われました。
しかし、父は自立してシャワーを浴びて出てきて、一人でテレビを見て新聞を見て、電話で家族と話している状態でした。
そのことを伝えるとDrは少し興奮気味に「そんなはずない!この状態では健常者みたいな普通の生活は不可能です」と言われました。


医学を否定するつもりは毛頭ありません。ただ、検査結果や診断が必ずしも現実のご本人を表しているとは限らないと思うのです。
私たちが行うべきは、こうした医療からの情報を大切にしつつ、目の前のご本人の状態や症状、その他生活環境全てについてしっかりと裏(根拠)を取る情報収集を行い、総合的に判断して、ご本人の生活課題(ニーズ)にどう介護行為を展開するかを考え、行動することなのだと思います。


さて、先ほどの新規の方の情報を得るためには・・・
こういう時は、小規模多機能では、訪問の機能の活用が有用だと考えます。
小規模多機能の訪問は活用しよう思えば、障害者の方の支援のように数時間の滞在訪問だってできます。


小規模多機能が柔軟で自在であるのは、デマンドに振り回されるためではなく、専門職である私たちが、認知症の方の自宅生活の継続を支援するという目的のために、その機能をいかんなく発揮するためであると私は考えます。

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Category 認知症

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