認知症という状態の特性に応じること

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認知症という状態の特性に応じること

2016年11月1日

認知症の人との関わりは、一人の尊厳ある人格として接するという大原則と同時に、認知症という状態の特性に応じたものでなくてはならない。

というのは耳タコなことですが、なかなかどうして。両立が難しいものです。
認知症介護は、ボケ、痴呆症と呼ばれていた時代の長い闇歴史があるためか、前者の「一人の尊厳ある人格として接する」という方に現場介護職は強い引力を感じずにはいられないようです。確かに歴史の反省として私も認知症の人の個別性や人格への着目が強いクセがあります。

しかし、やはり専門職として、後者の『認知症という状態の特性に応じた介護』も展開できなくてはならないでしょう。


例えば言葉遣い。
介護現場の言葉遣いの乱れについて各所で言われて久しいですが、認知症の人への言葉遣いは特に良き介護職にしてみれば敏感になる点です。
「認知症のAさんは一人の尊敬すべき利用者さんなんだからきちんと敬語を使わなくてはいけません」と。
これは一見正論なのですが、冒頭の後者の視点から考えなくてはならないこともあるはずです。
すなわち、敬語を使わなくても良い認知症の状態の特性上の場面があるはずなのです。

その方の言語理解の程度、言語障害の程度に応じた言葉遣いが専門職には求められるはずです。
「Aさん、あちらで一緒にご飯を食べませんか?」
という丁寧な言葉ではかえって混乱をきたす状態像である方に対しては
「Aさん、ご飯、食べる。一緒。あっち」という端的な文節でジェスチャーを加えながら伝えた方が良い場合もあります。
一見後者の言葉遣いは第三者からするとぶっきらぼうで、温かみを感じませんが、認知症の方にとっては、わかる環境の提供の方がずっと温かいものです。問われた時に根拠を説明できれば原理原則にとらわれる必要はありません。
これは認知症関連のテキストなどにも載っている、中重度別の認知症の方とのコミュニケーション手法によく書いてあるものですね。


他にも、最近私が感じた事例です。
Bさんは、アルツハイマー型認知症、要介護5で認知症高齢者の日常生活自立度はVbの方です。日常的なコミュニケーションはある程度言語で可能ですが、日に何度か訪れる混乱した状態の時は「助けてー」「助けてー」と強く訴えます。

この時私たちは誠心誠意コミュニケーションを図ろうとしていました。
「助けて欲しいのですね。お辛いですね。何か不安なんですね」と受容と共感の意を示してみました。
「どうしましたか?」「何を助けて欲しいのですか?」と開かれた質問(5w1hで応えるような質問)で、ご本人の声を引き出そうとしてみました。

しかし結果は「助けてー!いやーー!」とかえって混乱は強くなるばかり。
ご本人の思いに寄り添おうとコミュニケーションを図っているのになかなかご本人との意思疎通が図れませんでした。

ここまで振り返るに、私たちは、Bさんという一人の尊厳ある人格に寄り添おうと懸命に頑張って寄り添うという冒頭の前者の接し方に終始していたのでした。
中にはどんなに寄り添ってもBさんに受け入れられず、関係が築けないことに落ち込むスタッフもいました。


そこで一歩引いて、少し冷静に、ドライに、Bさんの認知症の特性に焦点を当てて関わってみることにしました。そしてアプローチを変えてみました。

そのアプローチ法は実に単純です。

閉じられた質問(Yes,Noで答えられる質問)に変えたのです。

Bさん「助けてー!」
スタッフ「立ち上がるのを助けて欲しいのですか?」「背中の痛みを助けて欲しいのですか?」「飲み物を取ることを助けて欲しいのですか?」というようにです。
Bさんは一つ一つの閉じられた質問に対して「違う!」「そうだ!」と意志を表明してくださるようになりました。つまり開かれた質問の自由度は今のBさんには混乱をきたすコミュニケーション手法だったのです。

ご本人の力や可能性を引き出す開かれた質問がかえって混乱を招いていた訳です。ご本人に寄り添おうという思いの先行が、認知症の特性を曇らせ、ご本人のQOLをかえって引き下げてしまっていた例です。


一人の尊厳ある人格として認知症の方と接することはもちろんです。
しかし、クリスティーンブライデンさんが来日して10年以上経過した今、認知症のご本人が訴えた言葉の衝撃はもはや新鮮なものではないはずです。それはすでに当たり前のこととして浸透し、私たちはそれを前提として、次のステップ「認知症の特性に応じた」専門的な介護を展開できるようにならなくてはならないのではないでしょうか。

一人の尊厳ある人格として尊重され、かつ、認知種の特性に応じた介護環境が整ったその先に、もっと認知症の人が当たり前に暮らせる社会が広がるはずです。


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Category 認知症

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